第3話 イカ釣り

長らく投稿ができておらず誠に申し訳ありませんでした。これからぼちぼち投稿していきますのでよろしくお願いします。ではどうぞ。




こんにちは、今から話す内容ですが、私の友人が二人ほど登場します。プライバシーのためA、Bと称します。さて前置きはここまでにしましょう。私は幼少期、よく父方の祖父母の住む愛媛県に帰省していました。私は帰省先の友人A、Bと会えることが楽しみでした。愛媛県まではフェリーで行っていたので一日ほどかかってしまい、愛媛県に着いた時にはへとへとでしたが、気分転換に荷物を置いて家の前の桟橋のほうに歩いていくと桟橋の上にAとBとさらにもう一人、大学生ぐらいのお兄さんがいました。久しぶりの再会でしたのでお互い大変喜んで話し始めました。結局そのお兄さんとも仲良くなったのですが、しばらく話したところでお兄さんのことが気になり、こっそりAに聞いてみるとAは、「Bの親戚のCさんだよ。大学の研究で教授と一緒にこっちに来たんだって。」と教えてくれました。その時は「あぁ、そうなんだ」と思っていました。そのまま四人で夕飯まで釣りをしたり、近くの駄菓子屋でアイスを買って食べたりしながら遊んでいました。私は親に夕飯に呼ばれたので家に戻ろうとしたのですが、ちょうどその時4人で夜の桟橋でイカ釣りをしようという話をしていたのですが私の親は夜に遊びに行くことを絶対に許さない親でした。しかし、私はどうしても行きたかったので親には黙っていようと考えながら三人に別れを告げて家に帰りました。そのあとは夕飯を食べ終えて集合時間になるまではテレビなどを見て時間をつぶしていました。そのまま集合時間になったので親にばれないよう、あらかじめ窓の外に用意していた靴を履いて窓から抜け出しました。

田舎ということもあって、イカ釣りの時間帯は辺りは真っ暗でした。そのまま桟橋に向かいつつイカ釣りでどんなイカが釣れるのだろうとわくわくしていました。桟橋に到着し、海に落ちないように気を付けながら桟橋の真ん中まで進んでいきました。そこにはすでに三人が集まっており、準備を始めていました。私は少し遅れたことを謝りつつ、準備を始めました。準備が終わり、いざ釣りを始めると、最初から食いつきがよく、大きめのイカが沢山釣れて、みんなが大喜びしていました。そのまま続けていると、ふと、大学生のお兄さんがいなくなっていることに気が付きました。A、Bに聞いてみると、二人とも釣りに夢中になっていて、いなくなるところを見ていなかったそうです。しかし、クーラーボックスなどの釣ったイカを入れるための入れ物を取りに行ったのだろうということになり、三人とも特に気にすることもなく釣りを続けてしまいました。しかし、あまりにも帰ってくるのが遅いと三人とも気づき、辺りを探すことになりました。しかしいくら探してもどこにもいません。

「なぁ、さすがにおかしくない?」

「そうよな、これだけ探しても見つからんけん、家に帰って寝たとか?」

「さすがにそれはあり得ないと思うけん、途中で事故にあったとか?」

「それが一番ありそうやな。流石に怖いから親に怒られるやろうけど家に戻って一緒に探してもらうべきじゃない?」

「そうしようか」

「なら親よんでくるわ」

「なぁなぁ、さっきから気になっとったけんちょっと注意して聞いとったんやけど、さっきから波の音以外の音聞こえない?」

Bが突然そんなことを言い出しました。それを聞いて三人とも黙って周りの音を注意深く聞いていました。

ザザァー、ザザァー、パシャパシャ、ザザァー、ザザァー、パシャパシャ

「いや、特に聞こえんけど?どんなんが聞こえたん?」

そう私がBに問いかけると、Bが

「いや、なんか低い音でボォーみたいな反響?してる音が聞こえるけん気になっただけなんよ」

「いや、わかる。俺も聞こえた」

Bが答えるとほぼ同時にAが答えました。Aも聞こえたといったので私はもう一度注意深く聞くことにしました。

ザザァー、ザザァー、パシャパシャ、ボォー、ザザァー、ザザァー

「ほんまや!なんか聞こえる!」この時私はほかの二人が聞こえた音が聞こえたことがうれしかったのですが、やはりこんな音は聞いたことがないという話になりまして、何の音だろうと三人で考えていました。しばらく考えているとAが突然、

「さっきの音なんか近づいてきとらん?」

と言ってきました。

確かに段々と先ほどの音が近づいてきているように思えてきました。いいえ、確実に音は近づいてきており、さらにはどんどんと音が大きくなってきました。船の汽笛をまじかで聞いているほどに大きくなってきました。

「めっちゃうるさいんやけど!!!!どこから聞こえてんの!!!!」

「そんなん知らんよ!!!俺も聞きたいぐらいよ!!!」

「二人とも!!!!そこの桟橋の下から聞こえとらん!!!!!」

そうAが叫んでいました。確かにAの言う通り、桟橋の下から聞こえてきています。そこで恐る恐る桟橋の下をのぞくとただ波が桟橋のコンクリートにぶつかっているのが見えるだけで何もいません。

「なんもおらんで!!!暗くてよく見えんかったけど!!!」

「ならこれ使って!!!!」

とBからイカを集めるときにつかっていたライトを借りて再び見ることになりました。私たち三人が会話をしている最中も音はどんどんと大きくなってきていて、頭痛がしだす大きさまで来ました。頭痛をこらえながら桟橋の下をライトで照らすと、そこにはイカの頭に人間の胴体をくっつけた手足が触手の異形な姿の 何か がそこにいました。私は恐怖でその場で固まってしまいました。するとその何かが頭をこちらにグルんと向け、複数の真っ黒な目でこちらをじっと見つめてきました。

「おい!!!!どうした!!!あんまり乗り出したら海に落ちるけん、はやく戻り!!!」

Aの言葉で我に返った私は、

「イカの化け物がおる!!!!この音も多分あいつや!!!!しかも腕になんか抱えとる!!!」

「はぁ!!!!!そんなものおるわけないけん!!!!音でおかしくなったんか!!!!見せてみ!!!」

そう言って二人がのぞくと、

「うわぁ!!!!!!なんやあいつ!!!!!!!」

「ほんとうにいる!!!!!」

二人が驚いている中、私は遠くの方から親が呼んでいるのが聞こえてきましたが、あるものを見つけてしまったので、それどころではありませんでした。

桟橋の下にいる何かが腕の中に抱えているものがちらっと見えたのです。

それは、数時間前にいなくなったBの親戚のお兄さんの服の切れ端でした。そのことに気づき、恐怖に震えていると、その何かが急に触手を伸ばし、私の腕をガッとつかみ、海に引きずり込んでしまいました。突然のことで何が何だか分からないまま急に息ができなくなりパニックになって何かの腕の中で暴れまわりました。しかし、何かの力は非常に強く私は触手に締め上げられて気絶してしまいました。

次に目が覚めたのは家の布団の上でした。

どうやら、両親が海に落ちる私の姿が見えたようで、何とか助かったようです。両親たちには何かは見えていなかったようですが、私のからだ中に残っていた吸盤型のあざを見て、得体の知れない何かがいたということは理解したようです。

Bの親戚のお兄さんは結局行方不明のままだそうです。

このことがあって以降、私は海に近づかなくなりました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る