第7話 ボクは二つの山を見たんだ……
――ドドドドドドドドドっ! ズダンっ! バキっ! ドガっ! ズザザザ……っ!
ボクが放った『
『
テミス君やサルフェを巻き込まないようにして放ったつもりだけど、二人は大丈夫だろうか……?
ボクは二人の安否を確認する為、立ち上がり、辺りを捜索した。
ボクが『アポカリプス・ワールド』の中で創り出した『
ゲーム内での威力を考えれば、今回の『
本来の威力なら数百の敵を一気に濁流に巻き込み圧し流して壊滅させるくらいの威力があったはずだけど、今回の威力は
サルフェが放った火属性の中級
まぁ本来の威力で放たれていたらここら辺一帯が壊滅状態になるので、良かったんだろうけど。
咄嗟に思いついて使ってしまったけど、もう少し考えた方が良かったのかもしれない……
ただ、少し気になるのがさっきの『
『
普通の中級魔術ならMP8~15くらいの消費が関の山だ。
それが43も消費しているとなるとやっぱり少しおかしい。
もう『
さっきので仕留めきれていると良いんだけど……
しばらく歩いているとサルフェが倒れているのを発見する。
ぐったりしてはいるがちゃんと息もしている。
さっきの『
ボクは少しほっとして思わず地面に膝をつく。
MP消費もそうだけどさっきの激戦でかなり肉体も疲労しているようだ。
それでもとりあえずサルフェを起こしてあげないと……
「サルフェ! 起きて! ねえ、こんなところで寝てると危ないよ!?」
ボクが身体を揺するとサルフェが目を覚ます。
「……あれ? 私はいったい――――テミス様は!? テミス様は無事なの!?」
サルフェは目を覚ますや否やテミス君のことを心配する。
「ごめん、まだ確認は取れていない。でもおそらく大丈夫だ。さっきまで一緒に
「
「さっき、弱点属性の水の中級
――ドガっ!! パーン!!
ボクがサルフェと話していると急に土塊が飛んでくる!
とっさに攻撃に気付けたから『
どうしよう?
もう『
土魔法で土塊を形成しているけど、かなり消耗しているからか形成に手間取っている。
「サルフェ! 『
「は、早くたってそんな! 相手の土魔法の方がレベルが上だからそんなに効果はないかもしれないわよ!?」
「無いよりマシ! 早く!」
サルフェは慌てて土のシンボルを刻もうとして間違えて風のシンボルを杖で刻んだ。
「サルフェ! それ、風のシンボルだよ! 土はそれを逆さに書かないと!」
「えっ!? いや、あなたが早く早くと焦らせるのがいけないのよ!」
もう間に合わない!
ボクとサルフェは最後の瞬間を覚悟し、お互いを抱きしめあってギュッと目をつむった。
ああ!どうせ最後ならサルフェじゃなく、テミス君といっしょに抱きしめあいたかった!
――まあ、相手もそう思ってると思うけど……
――――ビュンっ! ザクっ!!
ボクたちが最後を覚悟し、目をつむった瞬間、何かが風を切るような音がした。
しばらくしても
テミス君の手斧だ!!
どうやらテミス君が手斧を投擲して
「ニコ! サルフェ! 二人とも無事か!?」
声がした方を振り向くとテミス君がいるのを発見する。
「テミス様! 無事です!」
「ボクも大丈夫です! あっ、でもMPはもうほとんど空なので今日はもう魔術は使えません!」
テミス君もだいぶダメージを負っているのか、足を引きずりながらこちらに向かってくる。
服が濡れていないところを見ると、『
良かった!
でも何だろう?
テミス君の見た目に微妙に違和感を感じる……
さっき『
テミス君は仕留めた
「ニコ! やったな! D rankの魔獣だぞ! オレ、こんな大物仕留めたの初めてだ!」
なんだろう、テミス君のお胸のあたりが揺れているように見える。
おかしいな?
ボクは目をゴシゴシとこすってみる。
「こいつの肉、すっげえ、美味しいんだ! 昔、父ちゃんがオレの誕生日の時に獲ってきてくれたんだけど、たぶんオレがこれまでに食べた肉の中でも一二を争う美味さだよ! こいつの肉を売っても良いんだけど、買うと高いしな……!?」
さっきからテミス君がチラリチラリとこちらを見てくる。
売らずに食べようぜ!ってことなのか?
いや、それは良いんだけど、ボクはさっきからテミス君のお胸が気になっています……
「なあ、ニコ。良いだろ? みんなでこいつ、食っちまおうぜ! なあ?」
「ええ、良いですけど。そもそも止め刺してくれたのテミス君ですし……」
「ほんとか!? ニコ! 愛してるぅー! ちゅっ」
テミス君は「愛してるぅー!」と言ってボクのほっぺにキスをした!
隣のサルフェの表情は最初青褪め、その後、
あれ?
でもなんだろう?
ボクは全然嬉しくない……?
「あのテミス君、ちょっと聞いても良いですか?」
「ああ、良いぞ! なんでも聞いてくれ!」
「テミス君ってひょっとして――――」
「ん? なんだ?」
「テミス
テミス君は一瞬、「こいつ、なにを聞いてるんだ?」みたいな表情を浮かべる。
「ん? ああ! そうだな、オレはテミス
ああ、なんとなく、胸当てを外したあたりからうすうすそうじゃないかとは思ってたさ。
たぶん、ボクは次にこういうだろう、「そっ、そんなバカなー!?」と。
「そっ、そんなバカなー!?」
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