第10話 トメイトとポテイト
「今日はおめえたちに赤茄子(
ボクたちの自己紹介がひとしきり終わると、ゴンサクさんは早速、今回のクエストについて説明を始めた。
明らかに日本人風の顔なのに野菜の発音だけやたら英語の良い発音だったので、そこはちょっとまぁアレだな……と思ったが、まあここはそういう世界観なのだろうと思う。
まぁ
ゴンサクさんは続けて、魔物化していた場合の
「
ボクはゴンサクさんが物凄く良い発音で【
話を聞く限り、
あまり近づかないようにして、『
「あと、おめえら。もし魔物がさらに進化して【
と、さらにゴンサクさんが注意事項を説明してくれる。
「
と、ボクが質問すると、
「なに言ってるだ、おめえ。そんなもん【鑑定】で見れば一発だべ? 魔物の名前が変わってるし、レベルも【
と、ゴンサクさんが教えてくれた。
昨日討伐した
あの時はバロラに止めを刺してもらったけど、ボクでもMPが残ってたら倒せてたと思うし……
ゴンサクさんの説明が一通り終わると、ボクたちは街の外にあるゴンサクさんの農地に向かうことになった。
ゴンサクさんの農地はアンヌンから見ると西の方角にあり、ボクが目覚めた【
この街の正門の方から出て徒歩15分くらいの場所にあって、近くには川が流れていた。
話を聞く限りだと、この世界の農業はどちらかというと狩猟・採集に近い。
聖神教の守護結界で守られていない街の外は魔物が多くて危険だが、魔物自体がある種、人間にとって生きるのに不可欠な資源になっている印象だ。
狩猟・採集のスタイルで人口が多いアンヌンの街の食糧需要を賄えるのか?ということを疑問に思ったので、ゴンサクさんに尋ねてみたが、
「なに言ってるだ? 魔物なんてほっといても腐るほど湧いてくるべ? もしオラたちが狩りつくすということがあっても、ダンジョンが勝手に魔物を増やすだ。そんなこと心配する必要はねえだ」
とのことで、この世界では狩猟・採集スタイルでまったく問題が無いらしい。
ただ、ゴンサクさんが全く魔野菜を管理していないかというとそういう訳でも無くて、魔物化すると足が生えたみたいに勝手に移動しちゃって自分の農地からいなくなってしまったりするし、自らの魔素を強化する為に周辺の他の魔野菜を捕食し始めるので、適度に魔物化したものを討伐して農地に魔野菜を維持するようにはしているらしい。
ゴンサクさんの農地にはすでにゴンサクさんの所の従業員と思しき青年が3人居て、収穫の準備をしている。
先に畑の下見をして、どこら辺に魔物化した野菜がいるか調べておいてくれたらしい。
「さっそくおめえたちの出番だ!」
とゴンサクさんに促され、ボクたち冒険者3人組で魔物の方に向かう。
▼▼▼▼
「
とイケメンケモミミ狩人のテミスくんが言うので、
「じゃあ、せっかくなのでボクがやります!」
と、ボクは積極的にアピールした。
なんてったってイケメンケモミミ狩人くんである。
ここで良いとこの一つでも見せておかないと♪
戦闘の前に【鑑定】で相手のステータスを見る。
今のボクのレベルがLv4で、相手のレベルはLv5なので、もしかしたら少し相手の方が格上なのかもしれないけど、昨日はLv10の
ボクは
「混沌よ、力の根源よ、我が盾となりて、敵を退けよ!
――ドガガっ
ボクが『
やっぱりレベルが低いだけあって、昨日の
『
「混沌よ、力の根源よ、我が眼前に弾となりて、敵を穿て!
――ビュンっ! バギャっ!
闇色をした魔弾がボクの眼前から高速で相手の方に射出される。
すると、「魔物化した
蔦で『
そうすると、それをゴンサクさんのところの従業員が籠にいれて荷車の方に持って行った。
その後も魔物化した
弓を使うのかと思ったけど、彼は腰に帯びていた手斧を取り出すとそれを勢いよく振りかぶり投擲する。
ブォンブォンっ!と音を立て、回転しながら空気を切り裂いて飛んでいった手斧は見事、種イモの部分に命中し、彼は手慣れた手つきで魔晶石と残りの芋を回収した。
二体目の
ロイは物凄い勢いで剣を持って突進していったが、あからさまな突撃に
大丈夫だろうか?と少し心配になったがロイはすぐに態勢を立て直し再度突進していく。
ワンパターンだなとは思ったが、ロイは
どうやら彼は今日が冒険者デビューだったらしく、初討伐に興奮して「うぉーっ! よっしゃー!」と雄叫びをあげる。
「なんか必死だなぁ、コイツ」と一瞬思ったが、彼は故郷の村を
必死になるのも無理は無い。
むしろいつまでもゲーム感覚でいるボクの方が、この世界では異常のなのかもしれなかった。
この世界のことはまだよく分かっていない。
もしかしたらここがVRではなく、異世界の現実ということは十分ありうるのだ。
ボクたちはその後も順調に魔物化した野菜の討伐を進めていき、正午頃にお昼休みになった。
お昼ご飯はゴンサクさんの奥さんが用意してくれたというおにぎりと
討伐任務でお腹も空いていたボクたちは物凄い勢いでおにぎりを消化していく。
ゴンサクさんの方も冒険者がたくさん食べることを承知で、奥さんにたくさんおにぎりを作ってもらっていたらしい。
この世界にもちゃんと醤油的な調味料はあるんだなぁということに感動しつつも、芋の味もすごく濃厚でクリーミーで美味しかった。
ゴンサクさんいわく、煮っころがしの
「
討伐して無害化するとしたら
お昼ご飯をいただいてお腹がいっぱいになったボクたちは、少しお昼休憩を取らせてもらう。
「今のところ、順調ですね~」
とボクが言うと、
「そうだな、このまま何も起こらないと良いな」
とケモミミ狩人くんが返した。
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