設定公開 「魔晶石と貨幣制度」

 設定公開の第一段です。


 今回は第10話の「魔晶石」で出てきた魔晶石とこの世界の貨幣制度の設定について紹介したいと思います。


 ――――――――――――

 魔晶石:

 ・魔晶石は魔物の体内の魔素が結晶化してできたものです。

 ・人間の魔法属性が火、風、水、土、闇、光の6属性なのに対応していて、魔晶石の通貨価値である保有魔素(MP)も概ね人間のステータスに出てくるMP(マジックポイント)と同等のものになっています。

 →つまり、人間の1MP=魔晶石の1MP

 ※ただし、光の魔晶石は存在しません。光属性の魔物が存在しないことや光属性の神聖術が魔素を使った技法じゃないことが関係しています。

 ※複数の属性を合成してできる合成属性の魔晶石も存在します。合成属性の魔晶石の方が単純属性の魔晶石よりも価値が高いです。


 要は魔晶石があると魔法でやるようなことを自分のMP消費しないでやれますよ!ということなんですが、魔晶石は結晶化しているので魔素を少しずつしか放出せず、攻撃魔法とかではなく生活魔法(魔導コンロに火の魔晶石を設置して火を熾し、調理に使うなど)程度の出力しか出せません。

 ただ、魔術師たちも日常のあれこれに自分のMPを使うと疲れるので、魔晶石を使って生活しています。


 なので、魔晶石は電力や燃料みたいなものだと思ってください。

 あと魔晶石を使って実現できる魔法は魔晶石の属性によって変わるということですね。

 ※水の魔晶石で魔導コンロの火は熾せない。



 貨幣制度(魔晶石本位性):

 ・大昔は白銀貨、金貨、銀貨、銅貨などの硬貨が用いられていたが、700年くらい前から魔物が活発化、凶暴化するに伴い、魔晶石の流通量が増え、魔晶石の活用が進んだ。魔晶石が生活の必需品になると魔晶石が貨幣替わりに使われるようになった。

 ・400年くらい前までは硬貨も魔晶石といっしょに流通していたが、魔晶石も硬貨も両方持ち歩くというのが面倒になったことや、硬貨よりも魔晶石の方が価値が安定してきた(魔晶石を活用する技術が普及した)こともあり、硬貨を使用する意味がなくなり、今では硬貨は流通していない。

 →ただし、硬貨に価値が無いわけではないのでダンジョン内のゴブリンやオークの集落で大量の硬貨が発見された時などはそれを売却したり、特に白銀(ミスリル)硬貨はダンジョン内の魔素を吸うことで特殊効果が付与されていることがあるのでアイテムとして価値がある。

 →逆にこのことが硬貨が経済的に不便な理由でもあり、同じ重さ純度の硬貨なのに特殊効果の付与があると価値が変わってしまう。そういった理由もあって魔晶石本位制の貨幣制度に変わった。

 →物語の中ではバロラが「硬貨の場合、『どこそこの国の金貨は純度がいくらで、大きさはどのくらいで、だから価値はこのくらいで…… あっ!でもあそこは政局が不安定で今度、金の含有率を下げるって噂があるから……』みたいな感じで価値が不安定でしょ?」と言ってました。ぶっちゃけこの辺の話は『狼と香辛料』のロレンスの言ってたことをけっこう参考にさせてもらいました。

 ・「ステータス」の魔法同様、「鑑定」の魔法も人間や幻獣などの魂ある者であれば誰でも使うことが出来る為、魔晶石の保有魔素量(MP)が貨幣価値になっている。

 ・基本となるのは四元素属性(火・風・水・土の4属性)の魔晶石であり、それが最も低い価値となっている。次いで合成属性になると価値が上がり、闇属性が最も価値のある魔晶石となる。

 ※合成属性とか闇属性の話はまた後で出てきます。ここでは単に四元素属性を合成すると別の属性になるくらいに考えてください。

 ・四元素属性はどの属性でも基本的に同価値だがそれは一般的に流通量がかなり安定しているからと言える。一方でひとが滅多に訪れない辺境地の中でもさらに辺境にある村などでは安定した魔晶石の流通が無い為、たとえば砂漠地帯の辺境の村だと水の魔晶石が合成属性並みの価値を持つこともある。

 →ただし、砂漠でもオアシスにある街などは行商人や冒険者の行き来も多く、魔晶石の流通量も多い為、この様なことはない。

 ・魔素量の数値はステータスのMPと同じでMPになっている。

 →イメージとしてはだいたい1MP=20円となっているが、ニケがコールドスリープで眠る前の世界と価値基準が違う為、一概には言えない。

 


<お釣りが必要な時はどうするの?>

 ・基本的にどの街にも両替商がいるので大きな魔素量を持つ魔晶石しか手元にない場合は両替商に小さな魔晶石に交換してもらう。

 →ただしたまに悪質な両替商が魔素量が少ない魔晶石を偽って両替に混ぜることがあるので注意が必要。(まず相手に鑑定させておいて魔素量を計測させておいてから袋に入れる時にクズ魔晶石を混入させる手口が多い。)

 →冒険者なら冒険者ギルドでも両替してくれるので、冒険者ギルドで両替するのが一番安心。

 ・物販店で買い物するときは「あと1MP足りない!」みたいな時はだいたいみんな値切るか。応じてくれない時は少し魔素量が多い魔晶石で購入し、おまけをつけてもらうなどしている。

 ・サービス業のお店の場合、料金よりも高い魔素量の魔晶石を渡すと相手はチップをもらったと解釈するので注意が必要。ただ、そういうお店では普通チップを渡してあげるものなので、みんなケチケチせず、多少多めに渡してあげている。

 →従業員がもらったチップの金額は店側で計算して給料日にまとめてボーナスとして支給されていることが多いが、店によっては日ごとに支払っているケースも。

 ・魔晶石は使用することで保持しているMPが減るので、金額が低い貨幣はかなりの数出回っている。(釣銭用の魔晶石になる)

 ・使用すると徐々に小さくなり、最後には消滅するので、市場に魔晶石が増えすぎて貨幣価値が下がるということは無い。


<この世界の貨幣経済と現代社会の燃料料金の比較>

 ファイアボール一発の威力がだいたいガソリン1ℓを燃やすくらいの威力とする。

 1FB=ガソリン1ℓ


 ガソリン1ℓの値段(=生み出す価値)を120円と想定すると、

 1FB=120円

 となる。


 ファイアボール一発の消費MPを6MPと想定すると、

 1FB=120円=6MP

 1MP=20円

 となる。


 よってこの世界での1MPの価値は20円とする。


 なので、火属性の魔晶石を魔導コンロに設置してお湯を沸かす場合、1MPもかからないことになるので、1MPでけっこうなことができると思われます。

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