第4話 あなたはお姉ちゃんですか?それともNPCですか?
「バロラってひょっとしてさ……僕のお姉ちゃんだったりする?」
いきなりの変な質問に対して、バロラは、
「――――はぁ?」
と、少し気の抜けたような、呆れたような返事を返す。
いや、自分でも変な質問だよなぁとは思うけども、状況的に考えてどうしてもそれを疑わずにはいられない。
現実世界で目覚めない状況、つまりまだ病気は治せない状況ということ?
もしそうだとしたら、まだ病気の治療法が確立していないのにわざわざ僕を起こしてVR空間に連れ出す意味は何?
もしそんなことに意味があるとしたら、それは長年眠り続けている僕に家族や友人が会いたいと思ったからなんじゃないのか?
まあ友人の場合、そう思ったとしても病院側がそんなこと許可しないと思うから、家族の誰かがやってるとかなのだろう。
さすがに死にそうな状況だから
身内以外の依頼でそんなことを病院は許可しないだろう。
それとも
後者であって欲しい!
前者のパターンの場合は嫌な想像しか思いつかない……
これまで治療方法が確立するまで
だからこの数ヵ月はあなたの好きだった
あるいは、
でも幸い身体の
ほら、あなたのお姉さんも連れてきましたよ?みたいな状況とか?
このパターンの場合は
そうだとしても前者のパターンは絶対嫌だ!
これ以外のパターンだったとしても何かしら重大なことがあったとしか思えない……
後者なら良い!
うちの姉なら平気でこういうドッキリとか仕掛けてきそうだし……
うちの姉は、僕のことが大好きな人だった。
正直、ベタベタとかまってきて鬱陶しいくらいの人だ。
おまけにいたずら好きで僕はいつも被害にあってきた。
だから僕は心に誓っていた。
「姉ならどんないたずらでもしてきうるし、どんなことがあっても驚かないぞ!」と……
今回もいたずらで僕にドッキリを仕掛ける為にこんなトリッキーなイベントを仕掛けてきたんじゃないか?
そうに違いない。
いや、そうであって欲しい!
しばらくの沈黙の後、バロラは、
「そんな訳ないでしょ?」
と簡潔に、かつ溜め息交じりに答えた。
そんな彼女の様子を見て、僕は少しムキになってしまう。
「うーん、でもこれって
と、僕はまくし立てたがバロラは「?」というような表情を浮かべ、首をかしげている。
「いや、
と更にムキになって伝えると、バロラは今度は思案するような表情で黙り込んだ。
「うーん、僕、何か変なこと言ってるかな? 僕の言ってることって理解できる?」
「いえ、ごめんなさい、ニケ。私はあなたが何を言っているのかまったく理解できないわ」
うーん、ひょっとしたらバロラは【NPC<ノン・プレイヤー・キャラクター>】なのだろうか?
コンピューターが操作するゲーム世界の村人やお城の兵士、イベント限定で
確かにバロラが、ゲーム開始時の
でももしそうだとしたら、このNPCを操作する
僕が以前プレイしていた
会話が微妙にかみ合わなかったり、会話の受け答えのバリエーションが限られていたりして、僕たちはNPCか人が操作するプレイヤーかを区別することが出来た。
まあ面白がってNPCのような振る舞いをするトリッキーなプレイヤーも居たけれど……
それともバロラは超絶なりきりプレイヤーとかなのだろうか?
このゲーム世界にどっぷりと浸かっている廃プレイヤーだから世界観を壊すようなメタ発言は無視しますよ?みたいな人は居てもおかしくない……
とりあえずバロラはNPCか、超絶なりきり廃プレイヤーか、僕をからかうのに必死でNPCの振りをし続けてる姉かのどちらかだと思われる。
僕がこの世界について何の説明も得られないことにイライラしていると、
「あのね、ニケ……」
「何、バロラ?」
「――あなたさっきから【賢者語】を話してるわよ」
「――賢者語?」
「ええ」
バロラが突然よく分からないことを言ってきた。
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