第20話

「その中学時代の話を詳しく教えてもらえませんか?」

神宮寺は少し前のめりになって話を聞き出そうとした。


「私も玲ちゃんと飲んでいた時に聞いた話なので、どこまでが真実なのかは分かりませんが、それでも良ければ。」


「大丈夫です。お願いします。」


「中学時代は、かなりヤンチャだったみたいで色々とやらかしていたようで。後悔しているとは言っていましたが、彼女一度、人を殺しているみたいなんです。」


「え?殺しですか?」


「殺しといっても直接、玲ちゃんが人殺しをしたわけではないらしいんですけど。なんか、いじめていた子が自殺しちゃったらしくて。本人もまさか、いじめてた子が自殺するなんて想像していなかったようで。


まぁ、学生時代の軽いノリでやってたのにって感じだと思うんですけど。どれくらいヒドいことをしていたのかまでは分からないですが。


学校側がいじめは無かったと主張していて、当人たちが自殺した子のご両親に謝りたいと言っても、教師や校長とか多くの大人に止められたらしくて。謝りたくても謝ることができない葛藤を今でも抱えているって飲んでいる時に言っていました。」


「いじめですか。その話をしている時、武田さんの様子はどうでしたか?私が色々と話を聞いた限りでは、武田さんはお酒が強いって聞いたので、お酒に任せてそういう話をするタイプではないように思っていたんですが。」


「かなり悔やんでいる感じでした。お酒は確かに強かったですが、その日は彼氏に振られたかなんかで落ち込んでいる玲ちゃんを励ますための飲み会を開催していたので、お酒のペースも進んでいて、珍しく酔っ払っている印象だったのを覚えています。


多分、飲み会の最初は話すつもりは無かったと思いますが、振られたショックで彼氏の愚痴とか色々と心の中にあったモヤモヤとかを吐き出しているうちに、ついポロッと出ちゃったんだと思います。」


「色々とありがとうございました。非常に参考になりました。」

神宮寺はお礼を言い、急いで武田さんの母校である中学校に向かった。

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