第17話

お店を出た時間は深夜2時半くらいになっていた。駅前も電車がすでに終了していることもあり、人は全くいなかった。公園までの道のりを歩いてみても、一人も歩いている人とすれ違うこともなく、公園にも誰ひとり姿が見えなかった。


「目撃者がいないのも仕方ないな。おそらく、平日は何曜日でも同じような状況なんだろうな、ここは。」


神宮寺は念のため、公園からお店まで戻ってみたが、やはり誰一人ともすれ違うことは無かった。


「そういえば、衣服はどこに脱ぎ捨ててあったんだっけか?」

資料を見返すと、『全裸で寝ていたベンチの近くに無造作に脱ぎ捨てられていた』と記載があった。


「飲まされていたという店主の証言はあったとしても、男性たちが悪巧みをしようと考えてやっていたとするなら、女性はホテルで寝ている方が自然だよな。それを公園に全裸で放置させるってことを目的にしているとするなら、その理由はなんだ?恨みがあるとしても、復讐方法が独特すぎるし。もしかしたら、常識的には考えられない角度で捉え直す必要があるのかもしれないな。」


神宮寺は、自殺した女性の身辺を学生時代から遡って調べることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る