第15話

所轄に戻ると、大塚がムスッとした顔で近寄ってきた。

「どうした?そんなに怖い顔して。分かった、腹減ってるんだろ。これでも食べて元気だせよ。」

神宮寺は差し入れとして買ってきた肉まんを大塚に手渡した。


「ありがとうございます。これ、先輩から頼まれてた資料です。」

大塚はお礼を口にしていたが、まだ機嫌は直っていないようだった。


「忙しい中、ありがとな。助かるよ。」

神宮寺は最大限の労いねぎらいの言葉を掛けた。大塚は、会釈だけして自席に戻って行った。その姿を横目に見ながら神宮寺は早速、資料に目を通した。


今回、保護された5人は年齢や会社もバラバラ、家族構成も結婚している人もいれば独り身の人もいた。

「特に共通項が無いか。いや、絶対にそんなことはないハズだ。」

神宮寺は資料を隅々まで見たが、これといった共通点はすぐには見つからなかった。


「もっと昔まで経歴を遡ってみるしかないか。」

5人分の経歴を小学校まで遡って調べてみたが、5人は全員違う学校出身だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る