第13話

神宮寺は一番最初に事件を処理した交番を訪れた。

「すいません。俺、葛飾署の刑事なんですが、全裸事件について聞きたいことがあるんですが、担当した方、いらっしゃいますか?」


「はい、私が対応しました。」


「田中さん、初めまして。私、葛飾署の神宮寺と申します。最近、頻発している酔っ払い全裸事件について色々とお聞きしたいことがあるんですが、よろしいでしょうか?」


「お疲れ様です。なんでしょうか?」


「単刀直入にお聞きしますが、この事件で田中さんが気になっていることってありますか?」


「そうですね。私が一番疑問に感じているのは、この管轄で保護した方々が全員、カバンを持っていなかったということです。もちろん、全裸の時点で何も持っていなくても不思議ではないんですが、それでも貴重品などが入っていれば一人くらいはカバンが身近に置いてあっても良いと思うんです。なのに、誰もカバンは持っていなかったのは誰かが意図的に彼女たちを放置していったと考えた方が自然ではないかと思います。」


「言われてみれば。ちなみに、彼女たちの目撃情報は、公園で寝ている状態での通報のみでしょうか?それとも、その公園までの道のりでも裸で歩いている人がいるという通報が入っていましたか?」


「公園での目撃情報しか入っていません。」


「田中さんの先ほどの考察が正しいと仮定すると、公園までの道のりで通報が無かったという理由も納得がいきますね。ちなみに、『公然わいせつ』として処理する前に、この点は検証されたんでしょうか?」


「はい、ただ最後に目撃されたお店を出たのが2時を過ぎており、その時はまだ洋服も着ている状態だったそうです。終電もない時間帯だったので、公園までの道のりで誰にも会っていなくても仕方ないという判断でした。」


「検証済みですよね。分かりました。調書をお借りしてもよろしいでしょうか?」


「それは大丈夫です。」

神宮寺は調書を借りると、交番をあとにした。

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