第12話
「なぁ、最近連続している酔っ払い全裸事件で自殺者が出たって本当か?」
葛飾署の刑事である神宮寺は、隣に座っている大塚に声を掛けた。
「はい、さっき飛び降りの通報があって、現場に駆けつけた警官からの報告がありました。どうやら、一番最初に全裸で寝ていた女性が自殺を図ったらしいです。」
「そっか。ちなみに、全裸で寝てたやつって、これまでに何人いるんだっけ?」
「うちの管轄だけで、5人ですね。」
「他の管轄も含めると?」
「今日までで12人です。」
「は?そんなにいるのか。12人って、いくら夏でみんな浮かれ始めるとはいえ、多すぎやしないか。」
「でも、どの人たちも薬物で眠らされているといったことがなかったため、事件性なしで酔っ払いによる『公然わいせつ』ってことで全てが片付けられているそうです。」
「なるほどね。大塚、ちょっと悪いんだけど、これまで全裸で捕まった12人の情報を集めておいてくれないか?」
「いやいや、神宮寺先輩。勘弁してくださいよ。管轄分だけならまだしも、管轄外の情報ってどんだけ収集するのが大変か分かるでしょ。」
「分かったよ。じゃあ、管轄分だけで良いから、とりあえず集めておいてくれよ。なんとなくだけど、このままだと第二、第三の犠牲者が出て来てしまう気がするんだよ。」
「なんすか、刑事の勘ってやつですか?」
「まあ、そんなところだ。」
「分かりました。先輩の勘ってよく捜査だけは当たりますからね。調べますよ。」
「ありがとな。」
神宮寺は大塚に感謝を伝えると、そのまま何処かへ行こうとした。
「え?先輩、どこ行くんですか?」
「ちょっとな。」
そう言って、神宮寺は部屋を出て行った。
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