第39話 危ない人達(性的な意味で)

 「うへへぇ。」

 ダラシナイ顔で人形を眺めているのは、これらの人形を製作した人形師のアルテ。

 レティシアには内緒で色々製作していた。

 そこにはレティシア、ユーリ、メイの3体に加え、自身の学生時代からのパーティ仲間5人の計8体が並んでいる。

 エロフ達中期以降に仲間家族になった者達の人形はまだ製作出来ていないが、アルテの目標は全員分を揃える事。

 最終的には全自動自立式人形(等身大)を製作する事。

 

 そのためには核となるべき大型の魔石が必要となる。

 いつかどこかで、手に入れたいと思っていた。


 当面の目標は水着バージョン、メイド服バージョン、仲間内で製作した未来の戦闘服勝負服バージョンである。

 現状は今現在メインで来ている衣服バージョンで、所謂ノーマル装備というものである。


 メイに至っては普段がメイド服なので、別メイド服バージョン(スカートのロング、ミニ)を狙っている。


 レティシアの周りには変態か変人が集まり易いのか。

 それに気付く事はあるのだろうか。





 そしてとある個室。レティシア達の部屋に比べれば狭いが、人型二人が生活するには充分な広さがある。

 部屋の中心には椅子という名の豚……オークに座っているエロフの姿。

 もし正面に人がいれば、組んでいる足の付け根はもう少しで見えそうな程淫靡である。

 その容姿こそ幼いながらも、醸し出す妖艶なオーラは計り知れない。

 もしそのオーラに色が付いているとすれば、間違いなく桃色であろう。


 「椅子……」

  

 その椅子に向かってエロフは声を掛ける。

 もちろん椅子なのでオークのようなものは喋ったりはしない。

 その辺りは既に教育調教済だった。


 椅子……オークキングであるガレフの事なのだが、嫁であるエロフのミーシャは妻として女王様として彼を愛している。

 こうしたプレイも当然ながら愛ある行為。

 ガレフも納得の状況なのである。


 ミーシャはテーブル……ガレフの頭に乗っているトロピカルジュース(料理人・ユキ作)を取るとストロー越しにずず~っと吸い込んだ。

 嚥下されたトロピカルな液体はミーシャの味覚を満たしその喉を潤し、至福を与えている。


 一口二口と飲んだ後、再びテーブルであるガレフの頭に乗せた。


 ぐらぐらと揺れているのは長時間四つん這いとなり椅子となっているからか。

 それとも不安定な頭にグラスを載せられたからか。

 若しくは何かを期待しての事か。


 「ねぇ、零したり倒したりしたらお仕置きだってわかってるよね?」

 ぐらつくテーブルに向かってミーシャは独り言を吐いた。


 ガレフは現在椅子であるため言葉を発する事は禁じられている。

 そのため反射的に思わず、小さくではあるが首を縦に振る。

 首を縦に振ったものだから……当然頭も縦に動く。


 すると、当然グラスは不安定となり……


 「あ。」

 ミーシャが声をあげると、ガレフの頭から倒れ落ちたグラスはガレス自身の首にあたり床へ落下する。

 その際に撥ねたジュースがミーシャの身体にかかってしまう。

 具体的には細くて綺麗な足に。

 端的に言えば粗相をしてしまった。


 ちなみに椅子であるガレフは全裸である。

 そのため……


 ぐわしっ

 

 「……ぐっ」

 ミーシャはお仕置きとばかりに剥き出しの袋を一つ……左手で掴む。


 「あら、椅子が喋るなんておかしいわね。それにこれはお仕置き……貴方がテーブルとしてまともにグラスも置く事も出来ないものだから、零れたジュースが私にかかったじゃない。」


 かつてのひ弱なエロフの姿はそこにはない。

 一番幼い容姿のミーシャは一番尖っており性と精に貪欲だった。

 

 「そういえば……豚のコレって、人間様には精力剤として重宝するんですってね。調合師や製薬師はいないけれどお姉さまならコレを商品化する事も出来るでしょうね。」


 「ミ、ミーシャ様……そ、それは……」

 ミーシャからは見えないが、ガレフの顔は青ざめていた。


 「なに?口答えするの?この椅子は。喋って良いと許可もしていないのにこの豚椅子は……椅子としてもテーブルとしてもまともに機能していなのだから仕方ないじゃない。」


 「せ、せめて……一人くらいは子供を……それと、ミーシャ様の観賞用になら差し出しますが、誰のも……」


 ぎゅぎゅ~


 「あっぁぁあぁぁっぁ」


 ガレフの苦痛の声が部屋に響く。

 この部屋にはミーシャとガレフしかいない。

 レティシアが他のエロフやオークにとって教育上よろしくないとの理由から、この夫婦だけ別室が与えられていた。

 

 「安心して?お姉さま作のポーションで復元可能だから。お前は給料からそのポーションをお姉さまから買えば良いの。」

 「私はそんな行為が楽しい、ポーションが売れてお姉さまも嬉しい。家族内ではあるけどお金は廻るのだから良いでしょう?」


 「お前も結果的には私に貢いでいるのと同じなのだから、倖せだし喜ばしい事だと思わない?」


 「見た目幼女の私になすすべもなく破壊されたり取り出されたり……あ、想像したら濡れてきちゃった。」

 空いている右手で自身の股間に指を這わせるミーシャ。


 「ふふっ冗談よ、半分は。豚の言う通り子供は欲しいからね。この事は受胎を確認出来たら考えておいて。」


 「お互いが望む事をする、それがパートナーというものであり夫婦というものでもあるのだから。他の家庭とは少し違うかも知れないけれどね。」


 「今日は可哀想だから普通にしましょう。ただしお前は私を満足させる事。出来なかったら……もいじゃうゾ♪」

 「それと、後でジュース零してごめんなさいしにユキお姉さまのところに行きなさいね。」

 立ち上がったミーシャは旦那椅子の横腹を足蹴にし仰向けに寝転がせる。

 元々裸だったので……そのまま致す事は可能である。

 寧ろ椅子になっていた時からガレフのそこは準備万全であった。


 椅子には布団など勿体ない、床に直置き仰向けがお似合いであった。

 


 「アーーーーーーーーッ」

 というオークの声が響いたとか響かないとか。

 これがミーシャとガレフの夫婦生活。

 多かれ少なかれミーシャ主体の責め苦は今に始まった事でもない。

 夫婦の営みなのだ。

 

 

 



 

 レティシアの部屋。

 ただ今この部屋の中にはこの部屋の住人であるレティシアと、その親友ユーリの姿があった。


 「出来たっ。」

 レティシアは完成したそれを手に取り、広げて見せる。

 人参模様の洋服を見て感慨深く眺める。


 他にも人参装備は出来上がっていた。




 「シア……ありがとう。」

 ユーリは勢いでレティシアに抱き付いて、そのまま腕を後ろで組んでしまう。


 「お、おうふ。役得役得。」

 驚きつつも顔が赤くなるレティシア。名残押しつつも背中をぽんぽん叩いて離れるように促す。


 「早速一回身に纏って貰っても良い?」

 ユーリは断る必要もない、二つ返事で快諾した。


 

 「え?着替えているところ見るのですか?」

 衣服に手を掛けたところでユーリがジト目でレティシアを見る。

 女の子同士なのだから……というわけでもない。

 気になる相手であればそこに性別に寄る差はないのだろう。


 「だめ?」

 首を傾げてかわい子ぶって言われては大抵の人はイチコロだろう。

 レティシアを好いているユーリであれば尚の事。


 「だめじゃないけど……」

 ユーリが渋っているのはだからである。


 レティシアが製作したキャロットシリーズ。

 キャロットソード、キャロットローブ、キャロットドレス、キャロットティアラ、キャロット簪、キャロットスカート、キャロットブーツ、キャロットソックス(ノーマル、ハイソックス、オーバーニーソックス)、キャロットブラジャー、キャロットショーツ、キャロットガーターベルト、キャロットシャツ、キャロットドロワーズ(かぼちゃぱんつ)……

 とにかく色々ある。

 可愛さ重視、しかしその実色々加護やら付与やらされているので実用性も高い。

 そして組み合わせ自由。


 非劣化は全てに付与されているのでよれたり破れたりという心配もない。


 最初は渋々、途中から嬉々としてユーリは着替える。

 


 「これで最強さいかわ装備だね。すっぴんの最大の活かし所だよ。何でも装備出来る。マイナス補正なしだからね。」

 レティシアが製作しているのだから、もしすっぴんでなく他の天職だとしても、職業の壁による装備マイナスな効果など打ち消してしまいそうなものであるが。


 

 一通り試着を済ませるユーリ。

 その都度レティシアは「きゃーきゃーかわいいー」とまくし立てる。

 ユーリ一人のファッションショーと化していた。


 キャロットワンピースを身に纏っているユーリ。

 中には当然ブラジャーやショーツも装着済。


 「ねぇ、ユーリ……」

 じゅるりと効果音が付随している。


 「なに?シア。」

 上目遣いで返事をする、その仕草がレティシアにはどストライクであった。


 「襲って良い?」


 「え?」


 「もうだめ、可愛すぎる。ドキのムネムネが止まらない、違った。胸のドキドキが止まらない。」

 がばっとユーリに抱き付くレティシア。

 ユーリの首筋に鼻を当てると、スーっと鼻で息を吸い込んだ。

 

 その晩、レティシアの部屋からは二人分の嬌声が聞こえたとか聞こえないとか。


――――――――――――――――――――――――――――

 後書きです。


 この日初めて一線を越えた……??

 はてさて。


 ユーリはともかくレティシアがここまで百合かという描写は殆どなかったですけど、心情の変化はどこかで。

 一度レティシアからちゅっちゅはしましたけどね。


 

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