第一二三話
『御願いしますっ……!!止めて下さい!!その子を返して!!』
『ならぬ。これはもう忘れよ。死んだと思って忘れ去ってしまえ』
『そんな御無体な……!!』
男女の言い争う叫び声がした。一人は悲嘆しきった美声で、今一人は何処までも厳しく、重苦しい声で言葉を紡ぐ。それが誰なのか、彼女には分からない。眼前で見える光景は余りにもぼやけていて、輪郭すら覚束なくて、そもそも心覚えすらなかったから。
そして赤子の泣き声がそれらを一切合切掻き消す。激しく泣き喚くそれはまるで母親の腕の内から離れてしまった事への不安に怯えるようだった。温かな安息を奪われたかのようだった。彼女自身、まるで衣服を剥ぎ取られたかのように全身に悪寒を覚える程だ。
『そんな……!!?いや、嫌よ!?どうして、どうしてこんな……!?』
女は嗚咽を漏らす。必死になって男に縋るように問い詰める。大事な大事な宝物を奪わせんとばかりに抵抗する。
『これも全ては我らが一族のためよ。忌まわしい枝木は裁断せねばならぬ故に。諦めよ。次を待ち望め』
男の声は何処までも冷たい。決意と覚悟に満ちた宣言。追い縋る女を振り払い、立ち去っていく。
己を抱いて、母より引き離す……。
『ふざけるな……ふざけるなぁ!!返せ、返せ!!私の大切な我が子を……我が子を返せぇ……!!』
女は吠えた。怨嗟の呪詛を吐き捨てる。己が、文字通りに腹で育てた大切な宝物を奪い去らんとする男に何処までも深い憎悪を向ける……。
『ふん。強情な女だ。子なぞ後から幾らでも作れようものを』
底知れぬ悪意に対して、男は何処までも冷淡だった。女の罵詈雑言が遠退いていく。赤子が母を求めて一層泣き叫ぶ。彼女は何処までも悲しくなる。哀しくなる。恋しくなる。温もりを求める。
そして、そんな彼女に男が代わりに与えたのは『因縁』だった。
『許せよ。不運な星の下に生まれた巡り合わせを呪うがいい。貴様は我らが人柱。我らを苦しめる宿命の依代よ』
腕の内に贄を抱く男が呟く。淡々と事実だけを独白する。
『恨んでくれるな。寧ろ幸運かも知れんぞ?……どの道呪われるのならば、宿痾も絶望も、何も知らずに果てる方がずっと良かろう?』
そして彼女は流される。贄として、人柱として。水に流す。水に流される。神代の故事に倣い、長の血を跡絶えさせる。
身代わりの見替えり。黄泉に返す。受け継ぐ因縁ごと、舟に乗せて円環の輪廻に戻す。戻そうと企てる。欺かんとする。一族の呪いを逸らさんとする。
そのための犠牲だ。
「いやあぁっ!!止めてぇ!嫌よ!!御願い、御願いします!!止めて……あ゙あ゙あ゙っ゙!!」
誰よりも安心出来る筈の女の絶叫。釣られるようにして赤子の不安に怯えた泣き声は、一層甲高くして鳴り響く。手を伸ばす。朧気な輪郭目掛けて小さな腕を伸ばす。視界が暗くなる。漆黒の帳が下りてくる。広がる闇。闇夜。
そして、彼女はその中でも必死になって求めたのだ。闇夜の中で、殆ど本能的に、一縷の望みを賭けて……そして「柱」は求めに応じて「鬼」は嗤った。賽は投げられた。賽は置かれた。
それが例え、運命に全てを委ねるよりもずっと険しい生き地獄であったとしても。
大切な人達すらも巻き込んだ、身勝手な呪い返しであったとしても……。
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「ゔあ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙っ゙!!?」
絶叫だった。喉奥からの絶叫。布団から飛び起きてひたすらに叫ぶ。それは恐怖と不安の発散であり、己の存在証明であった。己の叫ぶ声を聞く事そのものが、彼女に正真正銘の安心を与えていた。
少なくとも、叫んでいる間は己はまだ生きているから……そして、延々の嵐はなくて事態は緩やかに終息していく。喉が嗄れて、息苦しくなり、悲鳴は途絶える。
静寂が、彼女の周囲に戻ってくる……。
「……ゆ、夢?」
「どうしましたか?そんなに魘されて……怖い夢でも見ましたか?」
「はい……?」
全てが夢幻であった事を理解して正気に戻り、そして予期せぬ問い掛けに思わず間抜けな返答をした蛍夜環であった。間抜けな表情を浮かべて、声の先に視線を向ける。己の直ぐ傍らに視線を向ける。
……凄く近くに女性の顔が近付いていた。
「あっ、え……?」
「あらあら。額に汗……本当に酷い悪夢だったのね。可哀想に。さぁ、拭きましょうね?」
困惑仕切った当の環の反応を置き去りに、手拭いで彼女の額を優しく拭っていく何処までも艶やかな女性。環は彼女の名前を知っていた。
鬼月胡蝶……環の預りとなっている北土退魔士名門鬼月家の御意見番。前々当主の妻。現当主の母。そして、環を鬼月の屋敷に迎えた張本人……!!
「えっと、別に其処まで……」
「あら酷い冷え。まさか冷や汗なんて……善し善し、怖かったですね?もう安心ですから落ち着いて下さいね?」
「いや、だから違っ……ふぐっ、んっ!!?」
朝っぱらから甲斐甲斐しいまでに親身になって世話を焼く御意見番に向けて無用だと口にしようとする環は視界を濃紫色によって満たされて、その口を文字通りに黙らされた。
そう。物理的に、次の瞬間には環の顔は着物越しでも分かる程に豊かな胸元に沈みこみ、何らの意見表明すら出来ぬ事態に陥った。
「んんんっ!?んぐっ!?ふがっ……!!?」
「んっ、……こぉら、駄目駄目。暴れてはいけませんよ?」
突如の事態にジタバタする環を、その後頭部に腕を回して逃がさぬとばかりに一層触れあうように抱き締める御意見番。鼻腔を甘い香りが擽った。実年齢を思えば加齢臭がしないのは神秘だった。強力な霊力持つ程長命かつ老いが緩やかであると聞くがこれ程とは……そんな脇道に思考が逸れる。
「ふふふ。恥ずかしがる必要なんて有りませんからね?悪い夢を見たら……こうして落ち着くまで抱き締めて貰うのが一番なのですよ?宇右衛門らにも良くしてあげたものです」
「ふ、ふがぁ……!!?」
環の頭を撫でながら、背中をぽんぽんと叩きながらの発言に思わず環は胸の内で噴き出していた。宇右衛門、あの隠行衆頭が?その光景を思い浮かべてドン引きして、しかし直ぐにそれが小さな子供時代の話である事を理解する。
問題は、今の己がそれと同じ扱いされている事であるが。
(というかどうして胡蝶さんが……?)
どうして鬼月の御意見番が己の部屋にいる?そんな事を考えて、漸く環は全てを思い出す。全ては必然であり、当然であった事を。ましてや今更驚くに値しない事を。
柔らかな胸に沈みこみながら環が視線を動かせば、どうにか視界の端から部屋の状況が確認出来た。十五畳程の室内……しかし正確にはここは室内ではない。少なくとも、鬼月の屋敷の室内ではなかった。
(牛車、迷い家……)
鬼月家の所有する牛車の幾つかは人工の『迷い家』であり、『迷い家』がどのような特性を持つのか、環は今更聞かねばならぬ事はなかった。見掛けでは精々六人乗せれば良い方な車の内に、障子や階段で隔てた三十余りの部屋がある事を彼女は知っていた。環の今いる部屋はその一つ。御意見番の使う車の内の一室。客人用として借り受けた一室。
退魔士家は定期的に都に上洛して出仕せねばならない。そして家人として新参者の環は、正式にその立場を認可される必要もあってそれに同行する必要があった。そして都に向かうまでの長旅にてそれまで乗りこむ『迷い家』を提供してくれたのが御意見番であった。
(悪い人じゃ、ないんだけどなぁ……)
まるで赤子扱いして抱擁される行いを、半ば諦めたように受け入れつつ、環は内心で嘆息する。
引き受け役だった縁からか、鬼月一族の中でも特に己に世話を焼いてくれている人であるが、どうにも面倒見過ぎる嫌いがあった。というか、まるで実の子供扱いだった。その事が環には何とも言えない気持ちにさせた。
「ふんっ、むっ……あ、あのそろそろ、流石にもう大丈夫ですから……」
胸の谷間から顔を出すようにして、環は半ば嘆願するように申し出る。どれだけの時間抱かれていたのだろう、流石に限界だった。幾つか挟んだ女中用の部屋の事を思うと……こんな姿を余りに見られたくはなかった。
「あら、恥ずかしいの?そんなの気にしなくて良いのに。……ふふふ。分かりました。仕方有りませんね?そんな目で見られたら駄目とは言えないですもの」
環の考えを読んだように胡蝶は嘯き、しかし渋々とそれを受け入れた。尤も、其処で全ては終わらない。当然のように胡蝶は環の寝巻きに手を掛ける。
「汗をかいてますもの。着替えませんとね?」
「は、はいぃ……」
胡蝶は当然顔で尋ねる。その立場もあって、環には断る選択肢はなかった……。
着替えに髪の整え。口濯ぎ……身嗜みを一通り整えて貰うのは今回が初めてではない。
「朝餉の準備は整えております。さぁ、行きましょう」
誘われるようにして環が向かうのは牛車の内に広がる部屋の一つ。窓が備えられた品の良い室内に入ると既に式神共が御膳の用意を整えていた。
「あ、お……お早う?」
既に部屋に居座っていた人影を認めて、それが誰なのかを認識した環は精一杯の笑みを浮かべて挨拶する。水干服を着こんだ年下の兄弟子に向けて、呼び掛ける。
「……お早う御座います、御師匠様、環様」
返って来たのは常日頃と同じ、淡々とした事務的な挨拶であったけれど。
「あ、う……うん……」
何時も通りの想定通りの、しかし期待外れの返答に環は苦い表情で以て応じた。
白若丸、美少女と見間違えそうになるこの少年が己に向けて何処までも素っ気ない理由が環には未だにわからない。今のように御意見番を通じて顔を合わせる機会が多いので出来るのならば仲良くしたいのだが……。
「白若さん、お早う御座います。……環さん、此方にどうぞ?早く食べる事にしましょう、冷めてしまっては味が落ちてしまいますもの」
「はい。……分かりました」
己も挨拶を終えた所で御意見番が環に着席を促す。環は一礼後に御膳の前に座り込む。そしてちらりと周囲を見渡す。部屋にいるのは自分達三人のみ。残りは給仕の顔無し式神。
(二人はいない、か……)
己に仕えている故に同じくこの牛車に乗り込んでいる友人二人はこの場にいない。
身分の問題もあって共に食べられないのは仕方無い事ではあった。しかしながら給仕としての役割すらも式神に取られてしまっており、文字通りに環の友人達は役目もなく手持ち無沙汰だ。いや、それは給仕に限らず雑務全般の話ではあったが。
蝦夷の友人は「まさしく無駄飯食いだな」と特に気にする事なくてんこ盛りの飯をかっ込んでいたものだが……入鹿は兎も角、鈴音はその状況に何処か気まずそうな表情を浮かべていたものだ。
(ううん。気まずそうだったのは多分それだけじゃなくて……)
環の表情が翳る。そうだ、気まずそうに自分の顔を覗き見ていたのは、それだけじゃない。もっと根は深い。そして、自分もまたその事について切り出す勇気はなかった。
時間は残酷だ。ここ暫くの忙しさもあって、だらだらと時間だけが経て行く。そしてそれが一層件の話題に触れる事をたじろがせていて、同時にその事実に甘えてしまっていて……。
「環さん、手が止まっておりますよ?味付けが気に入りませんでしたか?」
「えっ!?あ、そんな事は……!?頂きます!!」
己と友の心情に思考が進んだ所での不意討ち気味の質問に、慌てて環は取り繕った。そして改めて食前の礼をした後に手元の朝餉に意識を向けた。
雅な椀に盛られた姫飯に薄味の御味御付の実は豆腐と若芽であった。脂の乗った大ぶりの焼き鮭に里芋の煮物、お浸し。香の物は三種類盛られていた。理想的な一汁三菜の朝食。出来立ての、温かな朝餉。
「……」
暗い気持ちを一旦脇に押しやって、環は一先ず眼前の食事に意識を集中させた。単純に、空腹を感じていた事もある。
「では、最初は此方から……」
そういって手を伸ばしたのは御味御付の椀であった。程好い温かさの汁を一口啜る。昆布と味噌の味わいが口の中を潤した。
「美味しい」
浸るような呟き。続いて実の豆腐を摘まんで次に飯を、鮭を食べれば塩気と旨味が口一杯に広がった。
一度食べ始めれば手の動きは留まる事はなかった。空き腹を満たすために忙しなく箸を口元に運んでいく。若干はしたなく思えたがその心理とは対照的に身体はひたすら動き続ける。正直言おう。夢中だった。実家のそれよりも上手い調理だった。
(式神が作ってるんだっけ?)
ちらりと傍らで正座姿勢で控える黒子のような式神を覗く。顔のない人形は何も考えていないようにぼんやりと佇んでいた。
環はまだ碌に使役出来ぬが……話によれば簡易式は事前に使役者によって定められた想定に従った行動しか出来ず、其処に感情と言える物はないという。逆説的に言えば、この料理は御意見番の知識と経験を基にして作られているとも言える。
(凄いなぁ……)
繊細な式神の調整と使役の技量が窺い知れると共にその才にも環は素直に感嘆する。
先程の着替えや整髪もそうであるが女中に任せる類いの物から教養ある女房の持つべき教養技能まで、御意見番が退魔士としてではなく女性として深い教養と知識を有している事を環はまざまざと見せつけられ続けていた。
(僕とは大違い……)
己の過去を貶すつもりはないが、女性としてどうしても劣等感を抱かざるを得ない環であった。年の功等と言って己を誤魔化せなかった。
「流石ですね、白若さん。良い味付けです。まさか最初からここまで上手く出来るとは驚きましたよ?」
「へ……?」
里芋を優雅に口に運んだ後、胡蝶の口にした言葉に環は思わず間抜けな言葉を呟いていた。目を見開いて対面の年下の兄弟子を見る。少女のように白い肌と長めの髪を纏めた白若丸は恭しく頭を下げてそれに応じた。
「はぅ……」
吐き出した嘆息は先程と違って敗北感に満ちていた。元々目の前の家人の少年は自分よりも色気があったが、今の御意見番の台詞によって女性として決定的な敗北を喫した気がしたのだ。落ち込み項垂れる環。
「ふっ……」
……項垂れていたお陰で元稚子が嘲笑染みた笑みを浮かべていた事に環が気付かなかった事は、果たして幸か不幸か。
「こほん。……ですが、都風味の薄い味付けでは環さんには少し不足でしょうね。環さんは刀術主体、汗を流す鍛練となれば都風味では物足りない筈。違いますか?」
「ふぇっ!?あ、そ、それは……」
咳払い、そして胡蝶が問い掛ければ環は動揺して言い澱む。突然振られた話題にどう答えるべきか迷う。
「今度はもっと味の濃い料理法を教えましょう。環さんも、一緒に参加されませんか?退魔の職責を果たすとなれば、己で料理出来る事は決して無駄な経験にはならないと思うのだけれど」
「あ……は、はい!ぜ、是非に!」
混乱した中で、しかし胡蝶の提案に思わず環は食いついていた。胡蝶の言葉が尤もであった事もあるし、女性として己を磨き、白若丸との距離も詰められたらと思ったからだ。
「……承知致しました」
白若丸は料理法を学ぶ事は兎も角、環と共にという状況に不快感を抱いていたが少なくとも表面上は穏便に応じる。何よりも、胡蝶の言葉はこの元稚子にも益があったからだ。
確かに、彼に手料理を振る舞うならば下手に雅な料理は相応しくなかったから。
「良い返事ですね。では、関街に着いたら良い食材を仕入れなればなりませんね。ふふふ、楽しみですわっ……!!」
二人の返事に朗らかに笑う御意見番は、直後にその表情を鋭く変貌させる。そして、窓に向けて視線を向けた。環達と窓の間に立ち塞がる。式神達も同様だ。何処からか引き抜いた武器を手にして使役者達の盾となる。
「何奴!!覗き見するとは無礼よ!!」
叱責するような叫びで胡蝶は警告した。同時に牛車がその足を止めたのを環は自覚する。いや、己の乗る牛車だけではない。恐らくは隊列全体が足を止めた。
険しい山道を進む上洛隊の足が止まる……。
「な、何事ですか……!!?」
「鈴音っ!!」
障子が勢い良く引かれる。不穏な気配を感じたのだろう友人達が慌てて現れた。入鹿に至っては既に武器を引き抜いていた。環は二人と目を合わせる。鈴音は環と顔を合わせると咄嗟に視線を逸らした。その事が環の胸に鈍く締め付ける。
尤も、今はそれを気にしている暇はなかったが。
「妖気を感じない。隠行……?」
「けれど、確かに気配は感じるわ。それも相当なものよ」
警戒して術を発動する準備を整える白若丸に、胡蝶が続ける。環は同時に己が得物を手にしていない事に気付いた。愕然とする。自分が実質的な役立たずの戦力外である事を自覚したからだ。
しかし、まさか今更刀を取りに行く事も出来る筈もない。環は手ぶらでただただ窓の外の何らかの気配が潜む森の中を見つめ続けるしかなかった。沈黙が、場を支配する……。
「……待て。こいつはぁ、化物じゃねぇ」
最初に警戒を解いたのは入鹿だった。牛車内の視線が彼女に集まる。
「化物じゃない?」
「あぁ。こいつはぁ、人間の気配だ」
環の怪訝な問いに入鹿は答える。
「けど、猟師や樵じゃないだろう?荒事慣れた雰囲気だ。……盗賊か?」
白若丸は未だ警戒を解かずに尋ねた。しかし、それについても入鹿は首を横に振って否定する。
「いや。違うな。こいつは……」
入鹿はある意味で先程よりも険しそうに眉を潜める。同時に胡蝶は入鹿を見て、何かに気付いたような表情を浮かべた。
「簡単な話さ。こんな御上の目の光る場所で大人数で屯出来る連中なんざ、候補は知れてやがる」
入鹿の言葉と共に森の中から彼らは姿を現していく。扶桑国の軍団兵に酷似した、しかし猟師服のようにも、全くの異形にも見える独特の出で立ちの大人数が現れる。
「蝦夷だよ。……俘囚蝦夷。白犬族の連中みたいだな」
武器を下ろしながら接触を図る蝦夷の戦士達を一瞥して、入鹿は渋い態度で以て、吐き捨てるようにして嘯いた……。
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北土と央土の境界には、両土を阻むようにして峻険な山脈が広がっている。その余りの過酷さから氷牙山脈と称されているそれは、人はおろか妖すらも易易とは登れぬ自然の防壁だ。
山を抜ける唯一の道は元々は現地の蝦夷共が使っていた山道を、怜武帝が北伐時に見出だすと大規模な整備が為されて国道と成した。
更に件の蝦夷部族を討伐し、その拠点に砦を築けば其処は扶桑国にとって北の土の入口となり、その進出を大いに助けた。
今では街道は北山中道として、砦は幾度も拡張して関街となった。白木関、あるいは白木関街……人口はおよそ六万を超える物流の大動脈として、そして国防の要所としてその名は知られていた。
そんな関街を守る三千にも及ぶ軍団兵は今、北土側の関門に大挙して集っていた。完全武装に複数の国崩しまでも用意して城壁に張り付き、人と馬と牛と車で埋まる街道とその周辺を徒歩の兵が巡回していく……。
「どうなってんだ、ありゃあ?道が完全に渋滞してやがるじゃあねぇか?」
「おいおい、兵隊さんよぅ?どうなってんだ?こんなに進みが遅いのは初めてだぞ?落石か?倒木か?何処かの車が横転でもしたのか?」
「難民連中か?最近は村を捨てる奴らが増えてるからなぁ」
街道で生じた大渋滞。何時まで経っても進まない前方の状況に、待ちぼうけを食らっていた商人共が不満と疑念を口にする。考えられる限りの可能性を述べていく彼らに、近場を巡回していた朝廷の兵は肩を竦める。
「団体客が来たものでな。そちらの対応で精一杯なんだよ」
「団体客?噂に聞いていた退魔士共と橘商会の御一行か?」
軍団兵の返答に商人の一人がその正体を言い当てたとばかりに更に問い質す。商人らの情報網は早く、正確だ。彼らの間で千人に上る上洛集団の話はもう聞こえていた。何だったらその行く手で待ち構えて物売りに
顔繋ぎを仕掛けたり、小判鮫宜しく勝手に側や背後に纏わりついて護衛費用を浮かそうとする輩までいたのだ。
……というか、正しく自分達も似たような狙いで後追いしていた。全邦で度重なる妖被害に足下を見た用心棒共と斡旋業者に払うべき護衛費は今や青天井だった。中小の商人共では満足な護衛を雇うのは難しくなりつつある。寄り集まるか、数人で金を出しあって雇うか、彼らのように上洛隊や行軍を狙って張り付かなければどうにもならない。強かなのは生きるための知恵である。
「そいつらもいるがね。時節が悪いな。もっとでかい御客も来てるんだよ」
「もっとだって……?」
兵士の言葉に商人は今度こそ首を捻った。千人の上洛隊だって相当な物だ。小藩は無論、大藩の拵えた大名行列だってこれを超える事は早々ないだろう。何処ぞの有力な軍団が央土に配置替えするという話も聞かない。一体何の事なのだ?
「そいつは一体……」
商人が更に尋ねようとして、言葉を切った。視界の隅から疑念の答えが現れたからだった。
獣毛と鉄板で編まれた鎧を着込む、弓を背負う異形の兵士共が十人程、隊を成して街道の横を過ぎていく……。
「ひぇっ!?蝦夷っ!!?」
ぎょっとして商人の男が叫ぶ。其処には驚愕と侮蔑と恐怖の念が込められていた。
さもありなん。蝦夷と言えば大多数の扶桑国の民からすれば災厄そのものだ。開拓村を襲撃して略奪する狼藉者として、特に北土の者達は幼い頃から寝物語として散々教え込まれている。悪い子は大概鬼か熊か蝦夷に連れ去られてしまうものだ。
中小の商人からすれば特に、豪商が大口顧客を独占している以上は危険を承知で辺境の開拓村を訪れる者は少なくない。賭けに負けて途上で蝦夷の略奪者共に殺され品物を奪われるなんて事案も月一度はあるもので、どうにか逃げ切った案件を含めればその十倍はあろう。というよりもこの商人らも一度襲撃されかけて慌てて逃げた事があった。故にその恐れは人一倍である。
「わ、脇差は……!!?」
「待て待て、止めろ。武器を抜くなっ!!」
商人らが慌てて自衛用の武器を取り出そうとするのを兵士が止める。そして蝦夷共の先頭に立つ者と癖の強い言葉で話し始める。数瞬程して、蝦夷共はスタスタと関街に向けて去っていった。商人共に向けて不愉快な視線で睨み付けながら……。
「……おいおい、止めてくれよ。騒ぎになるだろうが?」
「お、おい……!?いいのかよ?あんな連中を関に向けて、蝦夷の奴らだぞ!!?」
肩を竦めて言い捨てる兵士に向けて、商人共がガヤガヤと騒ぎ立てる。兵士の方はと言えば面倒そうに説明を始めた。
「御上の御命令だからな。それに、ありゃあ俘囚共だ。問題はないさ」
「俘囚だぁ?何だそりゃあ?」
「朝臣として恭順した蝦夷の事ですよ」
軍団兵の口にした言葉に商人が聞き覚えがないとばかりに聞き返す。直後に答えたのは最後からの声だった。商人らが振り向く。宮仕えのように身形の良い男が其処にいた。
「聞き覚えがないのもの当然でしょう。俘囚蝦夷と交流するのは一部の官と契約した商人くらいのもの。法と立地の関係から外部から許しもなく接触する機会がありませんので。珍しいのも当然と言えば当然と言えましょう」
朝廷に恭順した蝦夷の一族は、高度な自治権を付与されていた。年一度の朝貢と出兵の義務があるものの、それを除けば独立国といって良いだけの権限を有していた。
「はぁ、成る程……」
「随分とお詳しいようで。えっと……お役人様で?」
商人らは闖入者に対して困惑しつつ礼と共に出自を尋ねる。相手の身形からそれなりの身分ではないかと見定めて商売の種でもせんと企む。
「ははは……」
男は朗らかに微笑むと一礼して彼らの横を過ぎ去る。同時に男の背後に付き従うように何十もの蝦夷共が続いた。扶桑風と、蝦夷風と、そして両者を掛け合わせたような装束の宮人服を着込んだ男女が続く。全員が非友好的な視線を向けて、通り過ぎる。商人共や軍団兵は、それを無言で唖然として、気まずげに見送るのみであった。
「……無礼な者共ですな。あのような視線を向けるなぞ」
「まるで珍獣でも見るような態度。まるで見世物であります」
蝦夷の文官は周囲の反応に口々に文句を宣う。臣従した立場ではあるが、それはあくまでも朝廷に対してであって有象無象の民草にまで蔑まれる筋合いはない。ましては自分達の装束とて、奇異に見られる筋合いはなかった。兵共は兎も角、文官はやろうと思えばもう少し違和感のない出で立ちだって出来たのだから。
蝦夷として見分けのつくように、敢えて伝統的な装束を着込んで来るようにという朝廷のお達しは、彼らの矜持をかえって深く傷つけた。
挙げ句には俘囚扱い!玉楼帝の御世に正式に呼称として廃止されて朝臣蝦夷と記載されるようになったというのに!!しかもよりによって軍団兵がそれを言うのか!!?それは長年朝廷に仕えて来た部族にとって恥辱の極みであっただろう。既に彼ら彼女らの大半は故邦へ帰邦したくて堪らなかった。
「そう怒るな。我等の不満なぞ姫様に比べれば易きもの。……耐えるのだ、姫様のために」
そんな部下達を、先頭の男は苦笑いしながら落ち着かせる。蝦夷の小使、攩野君雲は宥める。その口調に何とも言えぬ感情を忍ばせて。
「小使様……」
部下達はそんな上司を見て、己を恥じる。そうだ。辛いのは自分達ではない。自分達の上司の方が、そして姫君の方がずっと辛い筈であった。たかが陰口や視線如きで騒動を起こす訳にはいかない。そんな詰まらぬ事で姫様達の覚悟を無駄にする訳にはいかない。
「申し訳御座いませぬ。この程度の事で我を忘れるなぞお恥ずかしい……」
次席たる部下が全員を代表して小使に謝罪する。深々と詫びる。
「気にしてはいないよ。……しかし、いきなり問題発生は困るな。姫様に心労をお掛けしないと良いのだが」
そして、攩野は視線を関に向ける。釣られるように部下達もまた同様に。関、関街の、旅館に向けて思いを馳せた。
彼らの主君にして、無事都に届けるべき姫君に向けて、思いを馳せた。
貢ぎ物に向けて、哀れみを込めて思いを馳せていた……。
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「蝦夷、か」
『(;^o^)エビスシ?』
「ちゃうわボケ」
白木街の中心。山肌に乗り掛かるかかるようにして佇む街一番の旅館の、その楼閣の上から街全体を見下ろす鬼月家家人扱下人たる俺は何とも言えぬ感情と共にその単語を呟いた。原作の知識と共に、呟いた。オマケに突っ込みも入れた。全く……。
(左大臣がやってくれてるな、これは)
原作知識としては知っていた。しかし……こうして偶然にも鉢合わせして見るとその先の結末に俺は複雑な心境となる。
救妖衆が企てる幾つもの謀略。その帰結の一つにして更なる陰謀の呼び水となるのが今回の上洛団が白木の関で鉢合わせした蝦夷の一団であった。
扶桑国に対する妖共による経済的な嫌がらせの数々は、その国体の崩壊こそあり得ぬものの少しずつ確実に社会の不安を煽り続けていた。特に貧困層はその影響を一番に受け続けた。扶桑国は目先の混乱を最小限に抑えるために各種の救済策を行わざるを得なかった。限定的ながら炊き出しや老人病人の保護、あるいは豪商共を説得しての限定的な徳政令の公布。一方で軍団や検非違使を使った統制……。
言うが易し行うが難しである。どの施策も人と金を要した。何れだけ努力しようとも一と一を足しても三にはならない。足りぬ足りぬは工夫が足りても足りぬのだ。それを無理にでもしようものならば何処かに皺寄せが向かうのは道理であり、大抵の場合は結局は立場の弱い者にそれは向かうものであった。
最終的に白羽の矢が立ったのが扶桑国に従属する諸部族であった。蝦夷に隼人……正確にはそれらはおおよその居住地域を基準として朝廷が独断と偏見で名付けたに過ぎないのだが、兎も角もそのように呼称された者達の内で特に自治を許された集団に対して、扶桑国上層部は代わりの負担を押し付ける事にした。
「佐伯白犬族か……」
『(^ω^U)ワンワンヲ!』
街の郊外に張られた天幕の数々を一瞥して、俺はその出自を呟いた。扶桑国北土における朝廷従属部族最大の集団。大乱以前、怜武帝の北征時に帰順して以来、その尖兵として扶桑国の北土支配に多大な貢献をした蝦夷の一派……朝廷は彼らに軍役を要請した。
三千に及ぶ軍勢はそれに応じて央土にまで向かう。滞在費用全額自己負担で、だ。更に言えば公にはされていないがもう一つ朝廷は彼らに要請もしていた。無意識的に厄介事の引き金を引いていた。まぁ、大体左大臣のせいだけど。
(困ったな。細かい内容や時系列までは分からねぇぞ……?)
この部族に関わる一騒動は原作でも発生している。ノベル版やコミカライズでもだ。問題は、直接主人公は伝聞という形でしか案件に触れる事がなく、スピンオフでも曖昧にしか触れられていない点だ。結論は分かっていても其処に至る道程が全く以て不明瞭過ぎた。不明瞭過ぎる癖にルートによっては駄目押しの止めになるのだから嗤えない。
バッドエンドルートにて、扶桑国に止めを刺したのは同じ人間達であった。扶桑国と緊張状態にあった部族に対する救妖衆による各種工作。国は外圧のみでも内圧のみでも崩壊する事は中々ない。しかしその二つが合わさった時、巨大な組織はいともあっけなく崩れ去るもので……。
「あぁ、糞。どうしようもねぇな」
「何をそんなに苛立っているんだ?」
吐き捨てた苛立ちに答える 凛々しい女性の声音。動揺をひた隠して俺は振り向く。
そして彼女を視界に収める。鮮やかな烏の濡れ羽色の長髪を。炎のような紅い瞳を。大人びた細身の女を。鬼月家が一の姫、鬼月雛を。
「……街の様子を確認しておりまして。難民は無論、蝦夷の兵がかなり入っているようですので。集めた情報によれば人拐いも発生しているようです。治安に注意する必要があると考えておりました」
『( ´;゚;∀;゚;)カンコウリョコウデハスリニチュウイヨ!!』
「ははは、情緒が無いな。折角の眺めだろうに」
「私も子供じゃありませんよ。一々景色を見てはしゃいだりはしません。……何か、御用なのですか?」
『( ・`ω・´)ジンモンノジカンヨ!!』
雛の言葉に反論し、そして俺は彼女が此処に来た真意を探る。俺の今いる展望台は旅館の外れにあり大して人気のある場所でもない。少なくとも姫君が足を運ぶような場所ではない。偶然の出会いというには流石に不自然だった。断じて尋問ではないが。
「用が無ければ会いに来たら行けないのか?」
「そういう訳ではありませんが……」
「分かってる分かってる。冗談さ」
面越しに俺が苦笑の表情を浮かべると、雛はそれを察したように気安く己の言葉を翻す。こういう所は俺としては有り難かった。これがゴリラ様だったら隙あらばパワハラ発言の連発になるのは容易に想像出来た。当然と言えば当然の流れだか此処に来たのが雛で良かったと思う。
ゴリラ様は、鬼月葵はこの上洛の旅の殆どを己の牛車か旅館の部屋で過ごし、碌に公に顔すら出していない。俺なぞ一度たりとも見ていない程だ。客人として面会が許される数少ない人物が佳世であるが、彼女はゴリラ様については話を濁す。相当荒れているのだろうか……?
「……雛様、ですからそういう振舞いは止してくれませんか?」
『(;^o^)パパトタワムレルノハワタシノトッケンヨ!!』
「私の前で他の女の事を考えているからだ」
取り敢えず、気付いた時には互いの吐息すら感じ取れる至近に密着している雛に苦言を口にする。返って来た答えは拗ねた子供みたいに無愛想だった。可愛らしくもあり、幼くも感じられる物言い……白蜘蛛の謎の自慢は無視する。
「ははは……そんな事考えておりませんよ」
「さぁて、どうだかな?」
「ですから、からかうのは止して下さい」
「悪い悪い。……父からの呼び出しだ」
軽口の応酬は、雛の発言で沈黙に変わる。
「それは……」
『( ´;゚;∀;゚;)リフジンナジョウシカラノアッパク!!』
「お前の気持ちは分かるが待たせるのは宜しくない。負担だとは思うが……来てくれるな?」
「……はい」
『(*´・ω・)オキュウリョウヲカセグノハタイヘン……』
葛藤、緊張、恐怖、憎悪……渦巻く感情を抑えつけて、俺は雛の呼び掛けに応じる。彼女の言う通り、俺にはこれまでだって、そして今もまた選択の余地なぞなかったから。何の用事か知れぬが……俺は鬼月の当主の泊まる部屋に向けて、旅館の楼閣を下り始める。
重苦しい空気を纏って……。
「そうだ……」
「っ!?雛様……?何を!?」
『( ^ω^)ナンカオイシソウナニオイ!!?』
それは突然の事だった。俺の利き手を、雛が手繰り寄せた。白魚のような白く滑らかで細い指を、俺の太く粗い乾燥したそれに絡める。握手でも手繋ぎとも違う。もっと濃厚なそれは、所謂恋人繋ぎであった。
幼い頃、彼女と良くやった親愛の証明……。
「このような所、人に見られたら……」
「分かっている。人目がない間だけさ」
『(^ω^U)クンクンクン!!』
俺の動揺に、雛が子供っぽく笑う。そして優しく微笑む。……馬鹿蜘蛛は雰囲気壊すの止めろ。
「お前は一人じゃない。だから安心しろ」
「雛……」
『( ^ω^)パパゴハン!!』
内心を見透かしたかのように雛が囁く。彼女は俺の恐怖を察していたのだろう。俺の立場を、俺が恐れている事を。だからこそのその行動。俺は思わず彼女に敬称を付ける事すら忘れていた。ただただ、その手に感じる温もりが有り難かった。
……馬鹿蜘蛛、お前は暫く飯抜きな?
『ヽ(;▽;)ノナンデー!?』
「さぁ。一緒に行こうか?」
「……はい」
雛の先導に、俺は心からの感謝で以て答える。子供の頃の思い出を思い出して、共に歩調を合わせて、歩み始める。
当主の元に向かう俺の心中から、何時しか恐怖は霧散していた……。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「はぁ…はぁ……」
変装した彼女は幾度も背後を振り向く。己の脱走に勘づいた追手を怖れての事であった。
「大丈夫、ですよね?」
何れだけ刻を経ても追い縋る者の姿は影も形も見えなかった。どうやら今は問題ないらしい。
「帰ったら、謝らないといけませんね……」
世話役達には悪い事をしたと思う。後で弁明をしてやらなければなるまい。しかし、それでも……。
「……待っていて下さいね?今貴方を、故郷に帰してあげますから」
懐に仕込んだ風呂敷、その内に包まれる友が弱々しく鳴いた。懇願するような、小さく哀れみを誘う鳴き声だった。
「……!!」
これ迄になく物悲しいその声音に、少女は一層同情した。己の数少ない友がこんな鳴き声を上げる事に、ただただ胸が締め付けられる。
彼女が朝廷からの要請に応じた理由の一つがこのためであった。友は衰弱していた。少しずつ、衰弱し続けていた。己の邦の霊脈が合わなかったのだろう。余所の土地の水が身体に合わぬ者がいるのと同じだ。あるいはそれ以上か……それでも己の邦から出る事も許されぬ彼女にとって、どうする事も出来なかった。ただただ弱り果てる友を見送る事しか出来ぬ、そう思っていた。
渡りに舟とはこの事であろうか?長老達の議論は紛糾したが、最後は彼女が自分で決断した。邦を離れるのは辛い事であるし、都に着いた後に送る日々も……しかし、どの道選べる選択肢なんてなかった。ならば彼女は友の命を救ってやりたかった。
「……いきましょう」
そして彼女は早歩きで向かった。友の帰るべき土地に向けて。故郷たる異郷の地に向けて、足を踏み入れるのだった。
その行動を、冷笑しながら見つめている存在に気付く事もなく……。
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