第16話優しい嘘
「ねぇねぇ」
「僕くん」
「今週末、どうするぅ?」
えっとー
急な仕事が入っちゃって
「仕事かぁ」
「初めての週末は一緒に居たかったなぁ」
日曜日にどこか行きませんか?
俺、土日休みなんで
「なるほどぉ」
「買い物でも行く?」
良いですね
ちょうど俺も洋服ほしかったんで
選んでください
「選ぶ選ぶぅ」
「気づいて無いと思うけど僕くん」
「普段着、センス悪いと思ってたんだよねぇ」
えーーー
そうなんですか?
かなりショックですよ!
「じゃぁ、決まりだねぇ!」
なんか嘘を付いてしまった。
いつもならバレてからかうのに
今日のお姉さんは大人の雰囲気で色っぽい
興奮より嘘を付いた事の方が強く
罪悪感が湧き出た
「今日はぁ」
「どうしよっかなぁ?」
何がですか?
「えぇぇぇぇぇ!」
「寂しい思いをしてると思って来てあげた彼女がだよぉ」
「最後まで言わないといけない訳ぇぇ」
「じゃぁ、遅いから帰るねぇ!」
お姉さんは身支度をし靴を履こうとしていた
俺は、帰らせたくなかった
身体が勝手にお姉さんを抱き寄せていた
「うん?」
「どうしたぁ、どうしたぁ?」
俺は力強く抱きしめていた
「おいっ!!!」
「少年!」
「いたい!」
ごめんなさい!
「もうぉ!」
「女の子を抱くときは優しく包みこむんだよ」
「こんな風にぃ」
お姉さんが俺を抱き返した。
「どぅ?」
「優しい気持ちになったかなぁ」
初めて感じる居心地だった
これが幸せと言うんだと思った。
「こぉらぁ」
「僕くん、重いぞぉ!」
俺は、力が抜けてお姉さんに体重をかけていた
ごめんなさい
余りに居心地が気持ちよくて
「今度は、僕くんがやるんだかねぇ!」
今ですか?
「なんだなんだぁ」
「そこを聞くのかぁ?」
「別日で僕くんが私を抱き寄せたい時にやってよぉ」
そうですよね
慣れてなくて
「ど、う、て、い」
「だからねぇ!」
童貞の何が悪いんですか
「悪くないよぉ」
「そこが可愛い所なんだからさぁ」
とても幸せな時間だ
この時間が長くなれば長くなるほど
俺の付いた嘘の
罪悪感が強くなっていった。
「どうしたのかなぁ?」
「僕くん」
「急に無言になっちゃって」
俺、お姉さんに嘘ついちゃいました。
「うんうん?」
「それは付いても良い嘘?悪い嘘?」
「おいおい」
「黙ってしまうと、私はどうすれば良いか分からないぞぉ」
俺の、中だと付いてはいけない嘘です。
「嘘は良くないねぇ」
「どんな、嘘だったのかなぁ?」
土曜日、仕事って言いましたけど
仕事じゃないんです!
「ふーーーんぅ」
「それは、付いてはいけない嘘だねぇ」
「どんな、用事があるのかなぁ?」
毎年恒例のBBQがあるんですよ
すっかり忘れてて
「そんな事で、悩んじゃったのかなぁ?」
「可愛いじゃないかぁ!」
「BBQも仕事の一つじゃないかなぁ?」
「突発的に決まった事じゃないんでしょぉ?」
「だったら、立派な仕事だよぉ」
でも、嘘ついちゃったんで
「これからは、嘘付かなければ良いよぉ」
「今回は、サービス、サービス!」
ありがとうございます!
「じゃぁ、罰として今日は帰るとするよぉ」
嫌です!
俺は、優しくお姉さんを抱きしめた
これで、正解ですか?
「うん、せいかいだよ」
お姉さんが色っぽく言ってくれた
そして、優しいキスで
俺を、包み込んでくれた
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