第15話朝ごはん~夜ごはん

あれ、いつの間に寝てたんだろう


トントントン

何かを切っている音がした。


「おはよ!」

「僕くん」

お姉さん、おはようございます。



うん?

何か昨日と同じの様な気がする



「ほれぇー!」

「遅刻しちゃうぞぉ」

「着替えて、朝ごはん食べなぁ」

はい

いただきます!

「召し上がれぇ」



昨日は召し上がれとは言われてないから

間違いなく今日だ!


お姉さん、今日どうするんですか?

洋服、届きますよね

「え!届かないよぉ」

「昨日、届いたからぁ」

そうなんですか?

「そうそう」

「着てれば良かったねぇ」

「次回の楽しみが出来たねぇ」

「すんごい!セクシーなやつだよぉ!」

み、み、みたかったです。



俺はすごい小さい声で言ってしまった。


「そかそか、見たかったかぁ!」

すごい聴力ですね!

「僕くんの声はどこでも聞こえちゃうのだよぉ」

「だから、悪口いったらぁぁぁぁぁ!」

「ほっぺたをツネッちゃうからねぇぇぇぇ!」

「ほれほれほれぇー」

止めてくださいよー



朝から幸せな時間で

ここ最近で一番笑ったかも知れない

これが日常になると思っただけで

顔がニヤけてしまう



「僕くん!」

「遅刻しちゃうよ!」

あっ

本当だ!

行ってきます!

「おいおいおい!」


お姉さんが俺の襟を摘んで引っ張っている


ちょっと

お姉さん!

遅刻しちゃいますよ!


俺が振り向くとお姉さんの顔がすぐそこにあった


「行ってきますのチューはぁ?」



うわー

めちゃくちゃ可愛い


「だからぁ」

「すぐ声に出しちゃうの止めなさい」

「声にでてるよぉ」

「もおぉ!」

「今日は、私からしてあげるから次回は僕くんからする様に!」

「分かった人!」

はい!

「よしよし!」

「いい子だいい子だぁ」

じゃー

行ってきます!

「ほーい」

「行ってらっしゃいぃ」



夢かと思ったがそれは違った

お姉さんは、間違いなく俺の彼女だ!


「おい!山田!」

先輩、おはようございます。

「最近、何かあった?」

いや、特に変わった事は無いですけど

何か変ですか?

「なんとなく、変わった様な気がして」

「今週末の飲み会、参加だよな?」

今週末?

飲み会?

ありましたっけ?

「えーーー!」

「どうした?」

「飲み会大好きなお前が忘れているなんて」

「BBQだろ!」

「恒例の」

あっ

完全に忘れてた

「大丈夫か?おまえ」

「半強制参加だから」

「いまどき、パワハラだよな」

「ちゃんと、来いよ!」


いきなり俺のテンションは下がった

今までは大好きな行事の一つ、飲み会が

今はお姉さんと一緒に居たいの方が勝っている

考えるまでもないけど


俺は、一日中

行かない理由を考えていた

全く仕事をしないで


何か仕事もやる気が出ない

定時だから今日は帰ろう

家に近づくにつれ僕の足取りは軽くなっていった

お姉さんがいると思っただけで


ガチャッ


癖で鍵を開けてしまう

昨日までなら逆に閉めてしまうのに

今日は、開いた

そして、部屋は暗かった


あれ、お姉さんが居ない

夢だったのか?

やっぱり

何時間、経っただろう

かなり、お腹が空いた



「たっだいまぁ!」

「あれぇ」

「どうした、どうしたぁ?」

いや、

お姉さんが居なくて

「うんうん」

夢だったのかなって

俺にこんな可愛い彼女なんて出来るなんてって思って

「ながーいぃ!」

「短く簡潔にぃ!」

「寂しかったぁ!って言えば良いのだよぉ!」

「こらこらぁ」



お姉さんは、大きな声で笑いながら俺の髪をクシャクシャにしてる


「さてさてぇ!」

「ご飯、食べてないよねぇ?」

うん

「僕くんさぁ?」

「最初から一緒に住むって言えば良かったんじゃないぃ?」

「言ってればこんな寂しい思いしなくても良かったのにぃ」

「心配になって来てみたら、これだもん!」

「さぁ!食べにいこっか!」

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