第2話なまえ


下着姿のお姉さんはとても眩しかった。

天使を見ている様だ、見たことないけど

すらっとした体系

脚が長く

モデルの様にも感じるその美しさのあまり

どこを見ていいのか分からない


「おーーい」

「僕くん」


はい!


「おいおい、まだ驚いているのかなぁ?」

お姉さんは、腰を下ろし僕の方に近づいてくる

「ぎゅっ、ぎゅっ!」

え!

お姉さんが僕のほっぺをギュッて掴んでいる

「現実だぞぉ」

「そろそろ、落ち着きなさいな」

「僕くん」


俺は、深く深呼吸した。

すーー

はーー

すーー

「ハクション!」

「嘘だよ!」

深呼吸を邪魔され目を瞑ったその一瞬でお姉さんが僕の目の前で正座をしている


「僕くん?」

「今日は、お休みかなぁ?」


えっと、えっと、えっと

あれ、あれ、

スマホが無い


「どうしたのかなぁ?」


スマホが無くて


「あーー」

「ここにあるよっ!」


お姉さんの指差す方を見た

そこは、お姉さんの膝の上だった。

こういう場合はどうすれば良いんだ

ささっと取るのが正解なのか?

それとも、一言そえるのか?


「あれ?」

「取らないのかなぁ?」

「いらないのかぁ」

「中身観ちゃおうっと!」

え!え!え!

慌てて俺は、膝に置いてあったスマホを取った。

「観られちゃ駄目なのが入ってるのかしら?」

「えっちな動画とか?」

「性癖とかの検索履歴とかかなぁ?」

「ロック解除番号しらないからどうせ観れないよ」

「ぼ、く、く、ん」


はっ!

そうだった、なんでそんなに焦っているんだろう

少し、落ち着いてきた。

「ゴホン、ゴホン!」

「あーあのー」

「いつお帰りになるんですか?」

勇気を振り絞る必要性など微塵も無いのに

今の俺は勇気を出さなければ、その一言も言えないのだ


「うーん」

「帰らないよ!」

「責任とってよぉ」


どうすれば良いですか?

「そーだなぁ」

「とりあえずー」

「名前を教えてっ?」

「名乗らないは駄目でーーす」


俺は、仕方なく答える

「山田です。」

「えっ!もう一回!」

少し語尾を強めて

「山田です!」

「なるほど、なるほど」

「ありきたりの名前だね、山田さん」

お姉さんは少し困った顔をしている

「あ!山田さん、山田くん、山ちゃん」

「どれもしっくりこないんだよねぇ」

「やっぱりこれで良いよね!」

「僕くん!」

「私の名前はねぇ」

「山田だよ!」

「一緒だからさぁっ!」

「あせるあせる」

「お姉さんって呼んで良いよ!」


嘘に決まってる同じなんて有り得ない

いやいや、ありきたりの名前だからこそ被っているのかもしれない

とりあえずお姉さんって呼ぼう


「お姉さん?」

「どうしたのかなぁ?」

「俺、お腹空いたんですけど」

「おぉ!こんな場面でもお腹は空くよね!」

「私も空いた!」

「朝飯、ご馳走するんで許してもらえませんか?」

「ご馳走って何をご馳走してくれるのぉ?」

「何でも、良いですよ」

「なんでも良いかぁ、どうしようかなぁ、」

「じゃー」

「僕くんが欲しいです!」

そう言ってお姉さんは僕にダイブしてきた

「ダメなの?」

「いやいや、ダメとかそう言う事ではなくて」

「ダメじゃないなら良いんだねぇ!」

「まってください!」

「朝ごはんですよ、俺は、食用じゃないです!」

「わかったわよぉ」

「じゃー、僕くんが私を連れて行きたいところに行くよ」

「俺の朝飯なんてコンビニですよ、何が食べたいですか?」

「一緒に行かないのぉ?」

「そうですよね、何が好みか分からないから一緒に行きましょう」

「僕くん、私の洋服かえして」


がーーーん

そうだった、そうだった

洋服がないんだった

どうする、どうする


「山田くん!」

「全部、聞こえてるよぉ!」

「可愛いなぁ。」

「山田くん改め」

「ぼ、く、く、ん、」


お姉さんは笑い泣きしながら僕の頭を胸に抱き寄せ

髪をクシャクシャしながら

俺をもてあそぶ

「うん?」

「僕くん、すこし私の事に興味わいたかなぁ?」


興味は最初からある

こんな可愛い人が突如、現れたのだから

休みで良かった。

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