[5話]俺と先輩

オフィスのドアが開き、一人女性が出社してきた。

「冴木くんおはよう」

俺に挨拶してくれたのは井波華いなみ はな…さん

俺冴木と沢渡の先輩に当たる人だ。


「おはようございます。井波さん」

先にデスクで仕事をしていた俺も井波さんに挨拶した。

井波さんはビジネススーツがよく似合いスタイルがよく、

社内の人気や実力は折り紙つきだ。

俺達の仕事は自社の商品や法人やビジネスに必要な商品を紹介する

簡単にいうとセールスマンだ。


「吉川マーケットの発注いよいよ大詰めだね」

 井波さんも自分のデスクに座った。

井波さんも俺達と同じグループだ。

「そうですね」

吉川マーケットは今回地方に大型店舗を新設とのことで

仕事に必要な周辺機器をまとめて内に発注してきた。


「おはようございます井波さん、それに冴木も」

「おはよう沢渡くん」

「おはようさん」

沢渡も出社してきた。同期の沢渡は眼鏡をかけていて人の立場に立って話したり、

グループの話し合いで積極的に発言するなど、

俺達の部署でもなんというか頼もしいやつだ。


「今週を乗り越えたらとりあえずは終わりだな」

「だな」

「やっぱり新設の案件は期間が長いよな」

 沢渡はデスクに座わり、蹴伸びをしながら言ってきた。

 このごろ現場にいったり、会議が多かったのでひと段落ついた気分だ。

「そうね、普段は社内のプリンターやパソコン機器のことが多いものね」

今の時代はパソコン機器があれば、事業が進められるので

その手の案件が多くなっている。


「ベンジャー企業も多くなりましたね」

先輩たちに聞くともう少し大きい商品を扱うことがあったらしい。

時代なのかね。


「この案件あったら、井波さん予定あります?」

 沢渡が井波さんに質問した。

「そうね、特になさそうね」

 少し考えてから井波さんは答えてくれた。

沢渡が俺に合図してきた。

ーーいっちまえ。

「なにかあるの?」

ーー今がチャンスだ

まぁ話の流れてきにはそうだが。


「いやぁ、こいつがね話あるみたいなんですよ」

俺がためらっている間に沢渡が退路をたちやがった。

「そのですね、あの祝勝会でもしませんか」

「祝勝会?」

「ほらあれですよ、今回久しぶりの長期案件でしたよね。

 なのでその井波さんもお疲れかなと思いまして、

 慰労を労いたいといいますか」

 考えていないのが丸出しのダラダラした説明になってしまった。


「冴木くんや他の皆も頑張っていたしね、いいんじゃない

 井波さんは俺の提案を喜んでくれていた。

「そうですね、皆でははは」

 俺達の計画と違う形になってしまったため、空返事をついついしてしまった。

沢渡よ、睨まないでくれるか。誘えただけでも及第点は..くれそうにない。




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