[4話]柚希の親友
教室はどこもペチャクチャと騒がしい。ホームルームの前は大体こんな感じ。
私は北辰高校1年瀬川柚木。北辰高校は家から自転車で30分くらいのところに県立高校である。
私の目の前の席にいるのは
性格は活発で明るい、運動部なので日焼けしている。
高校からの知り合いだが、すぐに仲良くなった。
「柚希ってほんとおじさんとばかりいるよね」
「そんなことないよ」
そんなこと天地がひっく返ってもあり得ないし。
亜美や他の友達ともちゃんと遊んでいる。
この前もカラオケに行ったばかりだし。
「いや、おじさんとの話ばかりじゃない」
おじさんは私の家から20分くらいに住んでいる。なので私はよく遊びに行っている。私が来るとめんどくさそうにしてるけどなんだかんだいろいろしてくれる。
「そんなこと」
「ある」
私のことばを遮るように亜美が言ってきた。
「う」
そんな強く言われると確かにと同意してしまいそうになる。
「おじさんがゲームで負けたとか、いびきがうるさいとか
アイス奢ってもらったとかばっかりだよ、あんたの話」
亜美が若干うんざりそうに言ってきた。亜美は同じクラスで席が近いので特に何かあると初めに話してしまう。
「そんなじゃあ、高校生活満喫できないよ」
確かに高校生といえば、恋や部活に青春が連想される。
「あんた、可愛いだから、もっと青春して欲しいのよ」
「そうかな」
亜美はすこし青春というものを神聖視しているふしがある。
「そういう亜美も高校生なんだから、そういうことしてればいいじゃん」
「私当分、柚希と遊ぶからいいの」
満面の笑みを私に向けてきた。そんなこと言われると悪い気はしない。
(ちょろいない、柚希。でもそんなところが可愛い)
亜美の顔綻んでいた。
「今度、おじさん見に行ってもいい?」
「はぁなんで」
べつにあんな人見ても面白くもなんともないのに。
「柚希がよく話すからさ気になるだよね」
「それはそうだけど、行ってもつまんない」
「でも、柚希が頼んだらさ、デザートとか奢ってくれんでしょう。
私も行ったらワンチャンあるでしょう」
「そうかな」
でもあのおじさんなら最終的には仕方ないとか言って買ってきそう。
「ねぇ」
そんな子犬のような潤んだ目で私を数秒間見てきた。
「一度それとなく言ってみるよ」
そんな風に頼まれたら、無下にもしにくい。
(さすが柚希、これでこそ私の親友だよ♪)
亜美はヤッターと上機嫌になっていた。
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