[2話]柚希とゲーム
ごくごく一般のサラリーマンである。
部屋はベット、シャワートイレ別、キッチンありと
まあ、一人で暮らす分には平気なくらいな広さがある。
でもその平穏な生活にも災いが降ってくるのだ。
「おじさん、邪魔するよ」
柚木が家に上がってきた。
電話で呼び出されてこいつの世話をしたことがあった。
いくらお前の家から20分くらいだからと言ってもフランクに来るなこいつ。
酷い時は週3,4日は来た時さえある。
大体俺の家なんて、自分で遊ぶようのゲーム漫画、
パソコンしかないのだが、
証拠にもなくこいつは今日はゲームをしに来た。
「家に入るなり、ゲームかよ」
柚希はもうどこに何があるのか大体把握しているのか、
迷わずにゲームをセッティングしていた。
俺が社会人になり、このアパートに住むようになってからも
姉貴は旦那と出かける時は柚木を俺のところに預けるようになった。
俺は昔から姉貴にはあまり逆らえないのでやむなく引き受けることに
していた。
「このレースで今度こそ、トップになる」
いまやっているのは車のレースゲーでまあまあ本格的な試合形式で
遊べたり、車をカスタム出来たりするやつだ。
知人がやっているので仕方がなく買ったのだが、俺は格ゲーやロープレが
好きではあるがこの手のゲームは苦手なのである。
なのでたまに柚希に変わって貰うときもある。友人には柚希が俺の家に
遊びにくることを知っている。
はじめのころはずるいとか、犯罪のにおいがするとか散々いじられたものだ。
それにしても苦節社会人5年、女のうわさが立たない。
知り合いや会社に女の人がいないわけでも、話せないわけでもない。
気になる人はいないこともない。
「よっしゃ!!今回は勝てた。おじさんもたまにやろうぜ」
今回はレースに勝てらしく上機嫌になっている。
「やだよ、お前に半周以上差を付けられて負けるかいやだね」
なぜ苦手なジャンルで姪っ子にコテンパンにされなくてならない。
それは男的には惨めでしかない。
「なんだよ、チキン。ハンデつけてやるからさ、こっち来なよ」
男はメンツというものを気にするものだ、いかに苦手なものだろうと
それは変わらない。
「そこまで言うならやる」
「それでいいんだおじさん」
「柚希よ、確かにハンデなしで戦った方がカッコイイさ。
しかし人には向き不向きがあるんだからな」
「まぁやるならどっちでもいいけどね。私が圧勝するに決まってるから」
「始まる前からなかなか強気だな、柚木」
「まぁ、キャリアがあるかね」
確かに知人も柚希の腕を褒めっていたな。
(やるだけやりますか)
これからあつい勝負になるといいな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます