8日目 「恥ずかしいですね」
夏休みのある日。
俺は野生の巨乳ロリに出会った。
今では天然のお姉さんっぽくて、色気もあって、少しだけ興奮してしまうくらいには大人の女性で目のやり場に非常に困るほどだが——あの日だけは違った。
白く艶のある太ももがチラリと覗かせ、服の上からでもはっきりと見える大きくて膨よかな胸が心を擽ってくる。極めつけにかなりなまでの童顔と圧倒的に低い身長。推定では142㎝くらいだろうか。おかげで、胸さえ大きくなかったら小学生か中学生そこらに見える。おばさんが見たら羨ましさで嫉妬するほどにだ。
「どうしたんですか?」
「か、鍵……」
「鍵?」
「かぎ……鍵……か、ぎ、無くしちゃったぁ……っ」
それに、鍵を無くして泣き出すところなんてまじで小学生。ロリっ子かよ。反則だぜ、ロリコンのっ——なわけないが俺の良心に響くこの感じといい。少し胸が痛い。
あの時の俺には思いもしてなかっただろう。
これが……この気持ちが……恋心に変わろうとは。
―――――――――――――――――――――――——————————————
「おはよぉ……」
「ん、ぁ……ぁあ~~」
翌朝、俺は聞き慣れた声で目を覚ました。
眩しい朝日を一身に浴びて、気持ち良い目覚めが出来た気がする。そして、伸びをすると鼻腔を刺激する美味しそうな匂い。朝ごはんの匂いだ。
「目玉焼きと……バジルソーセージ、あとヨーグルトですか?」
「正解っ。凄いね、りょーちゃん」
「あはは……こんな特技要らないんですけどね」
「いやいや、これくらいできるなら勉強だって絶対できるよっ!」
「……匂いで朝食当てれる特技なんてどこにも使えませんよ…………」
「宴会で使える‼‼」
「馬鹿にしてるんすか……」
朝から声を張り上げて笑う真音さん。
俺よりも年上で21歳のくせに、一体全体どこから
俺にもよこせ。
ここまで幼く見えて、元気で天然だと——20歳以降は衰える一方だ理論なんか破綻する。もしかしたら、反例が
ロリコンじゃないけど。
「……でも、私は嬉しかったよ?」
「またまた」
「——いやいや、嬉しいよぉ! 私、趣味でご飯作ってたけどこうやって人に食べてもらって、美味しいとか言われるのって意外と嬉しいし、自分のために作るのと人のために作るのじゃ結構違うしねっ」
「そ、そうですかね……そう言われると照れますね」
「えへへぇ~~、照れろ照れろぉ」
「何言ってるんすか、真音さんの方が赤いですよっ」
「んなっ——!?」
「……ほら、目逸らした」
「べ、別にっ——逸らしてないし……」
「ははっ、誤魔化しが下手ですよ」
俺が苦笑しながらそう言うと、彼女は頬を真っ赤に染め上げて机の下で丸まった。猫みたいに可愛くて、不意に手が伸びたがすんでのところで手を引いた。危ない危ない、危うく性犯罪者になるところだった。さすがに自重しなければいけん。
「うぅ」
「でも、まあ……本当にありがとうございます」
「……?」
「前にも言いましたが、俺はこれでもありがたいんですからWINWINということにしておきましょう!」
こくりと頷きながらも、俯いて一切目を合わさない彼女はかなり可愛かった。
——気が付けば、か。
どうしてこんなに愛らしく感じてしまっているのだろうか。俺も良く分からないがどうしてか胸がそわそわする。
ん? それが恋だって?
いやいや、そんなこと分かっている。
でも、どうしてもそれを認めたくはなかった。
いや、認めたくないというより——恥ずかしい、そんな気もしなくもない。これが同級生に知られてみれば「お前大学生と付き合ってるの⁉」「え、年上なの⁉」「熟女好きぃ~~」とか言われるかもしれない。ほんと、21のどこが熟女だ。少なくとも35以降だろ。
俺も高校生になったということなのだろうな。
この気持ちが、この胸の高鳴りが……きっと。
——恋をする、ということなのだろう。
ただ、こんなヘタレに告白する勇気なんてあるわけないし、言うはずもないか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます