新しい生活
第7話 新真実
(僕、死んだんじゃないの?)
魔夜はベットに横たわっていた。
高い天井、大きな窓、シャンデリア、広い部屋
窓の外を覗き込んだ。
そこには、ゲームの世界にあるような、愉快な村があった。
現状が理解できなくなり、魔夜は戸惑った。
「ようやくお目覚めですか」
女の人の声がした。
振り返ると、そこにはメイドがいた。
少し短めの黒髪、獣の耳、茶色くあまり開き切ってない目をした不思議な女性だった
「おはようございます。体調はどうですか?」
「す、すみません、あなたは?」
魔夜はとりあえず質問してみる。
知りたいことが沢山ある。
「私はキャニャ・アニマ、キャニャで結構です。猫の妖精で、ここの召使いです。一応戦えます。」
「ここは何処で、なぜ僕はここにいるんですか?」
「ここは述懐様の母星、ダークグレー星にある述懐様の御屋敷です。ダークグレー星という名はこの星の3分の2が黒に染まっていることから名付けられました。述懐様は様々な属性を使える魔法使いのため、この星の1番の騎士として称えられました。ある日、地球というダークグレー星のような暮らしやすい環境を持った星に旅に出た述懐様のお弟子様が、帰ってこないという事件が起こりました。述懐様は心配となり、地球にたどり着きました。すると、なぜか魔法使いは批判され、処刑されていました。述懐様は謎を解き明かしながら、地球で暮らしましたが、ニンゲンと恋をし、結婚しました。そこで、魔夜様が産まれました。しかし、結婚相手様も、魔法使いの存在に気づいてしまい、自ら命を絶ちました。そして、あの日、述懐様の亡くなった日...」
物知りのようにペラペラと話していたキャニャが、急に言葉をつっかえた。そして、うつむく。
魔夜も手を強く握りしめてうつむいた。
数秒後、またキャニャが口を開いた
「やっと、この星を黒く染め、魔法使いの風評被害をうけさせた者を突き止めたのです。しかし女だということは分かるものの、その姿は見えなかった。あっけなく、殺されしまった。そこまでは魔夜様もお分かりだと。」
「...はい。でも、その後、父さんが意味のわからない言葉を...」
「それが、今の状況のことです。述懐様はまだ戦う力は少しありました。でも、魔夜さんに託したんです。述懐様の願いを。述懐様は、最後の力で、この星まで飛ばす魔法を使いました。」
「僕だけ...生きてるんですか?父さんも、ロンも、死んだんですか?」
「述懐様の遺体はありますので、 亡くなったことは事実です。しかしロンさんのはありませんでした。」
「ロンは生きてるんですか!?」
「...恐らく、生きている確率は極めて低いです。」
沈黙の時間の後、キャニャは小さな声で言った
「これが私の知っている全てです」
魔夜がゆっくり口を開けた
「1人にさせてください」
魔夜は泣いた
ずっと貯めていたものを全て吐き出した
一人ぼっち
家族をみんな失った
泣いた
泣いた
もうどうでもよかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます