第4話 愛す人の黒い過去

なんというか、ロンはなんとも言えない顔をしていた

驚き、恐怖、怒り、混乱、憎しみ…

分かることはマイナスの感情だということ


「僕のコト、嫌いじゃなかったの?」


魔夜はきょとんとしながら光線を放ち続けた


「なんのこと…?」


特に思い当たることはない。魔夜はロンのことを弟のように可愛がっていた。

嫌いなんて一度も思ったことはない。


ロンはモゾモゾと落ち着かなかった

何か言いたいことでもあるのだろうか。

魔夜は何かを察し、魔法の力で自分達を囲うようにバリアを張った

その時一瞬ロンは悲鳴をあげていた 

それほど、ロンは魔夜のことが怖く感じていた


「どうしてか教えて?」

魔夜は優しく問う


数秒後、ロンは寒さと恐怖で震える唇を開いた


「七歳の時僕は魔法使いにとらわれてたんだ。その魔法使いによると僕は『神に近いもの』らしい。よくわからないし、たぶんデタラメなんだろうけれど。3日間、古い家に監禁されてた。でも、4日目の朝、目覚めたら僕のすむ家にいた。最初は夢かと思ってたけれど、現実で誰かが僕を助けに来たらしい。昔から魔法使いは『恐ろしい存在』だったから、魔法使いはみんなそういうひどいことをする人だって思ってたから…」


魔夜の目が潤っていた

ロンの目からポロポロと水滴が垂れた


とても綺麗な涙だった


魔夜はゆっくりとロンに歩み寄った

そしてロンを抱き締めた


守るように


兄のように


いつの間にかロンの恐怖心はなくなっていた


そして魔夜は震えた声でささやいた

「ごめんなさい…」

ロンも反応した

「魔夜は悪くないッ…僕だって魔夜こと、怖く思っちゃったし…」

「僕はロンの味方、何があっても、ロンを守る。絶対に」

そう言った魔夜の目は少年らしからぬ目をしていた

「魔夜…」


涙も雨も全く止まない

バリアの外では木やモノ、ヒトまで飛ばされていく


魔夜もロンもそのことには気づかなかった

























 












これはテンサイじゃないんだということも

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る