第6話 淫虐の責め苦と脅迫と…
「な、なんだとッ!? うちの孫が…亜子が…浮浪者集団にさらわれただってッ!?」
鍋島行正は、顔面を腫らしながら訪ねてきた孫娘の交際相手だという若い男の言葉に狼狽した。
「け、警察に…」
震える手でスマホを掴む行正。しかし、事が露見すれば、愛する美しい孫娘の将来は、好色と好奇心に満ちたスキャンダルに塗れることは容易に想像がついた。
「すでに…亜子さんは…つらい目に遭っています…今、こうしている間にも…」
東出優馬は男としての自らの頼りなさを詫びる表情を浮かべつつ、スマホを差し出した。惨劇ともいえる動画を目にした途端、上級国民の紳士は、日頃は笑顔を絶やさぬ顔に憤怒の表情を作る。修羅と見紛う様な恐ろしい表情は、孫娘への愛情の深さを物語っており、また、身分卑しき者たちに穢される亜子への悲嘆も窺わせた。
「あ、亜子! …な、なんということだ…」
スマホの画面に映し出された鍋島亜子は、かわるがわる汚らしい男たちのそそり勃つ、男根を無理やり一本ずつ丹念に奉仕させられていた。女優のように愛らしい貌は苦悶に歪み、抜き出される邪な男たちのイチモツを吐き出すたび、喘ぎ苦しむ美貌に白濁とした液体が飛び散る。画面の中からでも匂い立つようなザーメンを唇から滴らせ、嗚咽を堪える亜子。最愛の孫娘は動画の最後に、悲しみに満ちた表情で言う。
『た、助けて…おじいちゃま…』
「あ、亜子をさらったこの連中の…目的は何なのだね!?」
鍋島行正は声を震わせ尋ねた―――。
―――ここは下町にある、古びた簡易宿泊施設だ。ホームレスの自立支援という名の下、生活保護を申請させ、その中から高額の経費を天引き、いや横領することが問題となったNPO法人が所有していた今は廃墟だ。
鍋島亜子はわずかにショーツを身に着けただけのあられのない姿で、意に添わぬ淫靡な甘い痺れに身悶え、すすり泣きの声を漏らしていた。
「おぅ~~ら、おら…感じているんだろ、感じているんだろ? ほぉーらだんだん乳首が勃ってきた、勃ってきたぁ」
手首足首を古びたテーブルの錆びた脚に、ビニールロープで固く結わかれた亜子は、その秘裂に絶え間なく走る責め具が生み出す甘い痺れに、否応なく熱っぽい嬌声が口をついて出る。大の字に縛められた令嬢を責めるのは、また別の中年男だった。
「捨ててあったバイブだってなかなか気持ち良いだろう、お嬢様ぁ? けけけ、濡れてきた濡れてきた…案外スケベだぜ、この娘」
「あ、あぁッ…」
亜子が濡れているのは事実だった。激しく振動するバイブで、広げられた純白の布が覆うトライアングルゾーンを執拗に責め立てられては、逃れる術も抗う術もない亜子は、感じるなというのは無理な注文だ。裸体を反り返らせるたび、古びたテーブルが軋む。が、肉体は自由にならない。邪な摩擦を秘所に受ける度、淫らな液体がショーツに塗れる感触に死ぬほどの羞恥心を覚える亜子。しかし、心地良さなどあろうはずはない。自慰を強要され、その様子をまたしてもスマホに撮影されているのだから。
「馬鹿言うなよ。誰がお前の下手糞なテクで悦ぶかよ。ましてや、こんなお上品なお嬢さんがさ」
宇佐美はそう言いつつも、小気味良く嬲られる亜子を愉しんで撮影する。
「女っていうのは、防衛本能が強いから、たとえキモイ男にでも犯されそうになれば、膣を守るため濡れる仕組みなんだよ」
真偽不明の講釈を垂れる宇佐美のその言葉に、亜子はこれからいずれ受けるであろう、激しい凌辱を想像し、恐怖と絶望感に襲われた。
「ま、お嬢様が事の真相をここでばっちり白状してくれれば、貞操の保証だけはしてやってもいいがね」
「な、なんなの、事の真相って!?」
藁をもつかむ表情で尋ねる亜子。
「だから言っただろう? あの新宿暴走事故の日、鍋島の取った行動を詳細に白状しろっていうことさ」
「そ、そんなッ…知らない…言えないわ」
「知らないのか言えないのか、どっちなんだぁ?」
パンティの布地に浮かび上がる淫唇を、弄ぶように振動する人造男根の先端でなぞられると、ピンク色の下着がしっとり濡れはじめ、陰毛が浮かび上がる。
「あ、あぁ…それだけは…」
亜子は哀願するように、頭を振る。握りしめられた足の指が、悪魔の愛撫に感じまいとする懸命さを物語る―――。
代わって鍋島邸―――。相変わらず、鍋島行正は冷静になどなり切れるはずもなく、卑劣な誘拐犯たちのテロともいえる要求の橋渡しをさせられた東出と対峙している。
「あ、あの事件の真実だと!? そ、そんなこと公表などできるはずはないじゃないか!」
鍋島行正は、地団太を踏むように吐き捨てた。
「そうです…。連中はあなたが事件当日に取った行動を白日の下に晒すことが目的です。マスコミ相手でも、動画サイトでもいい。いち早く真相を公にしてください。でないと…」
「そんなことをすれば、鍋島家の名誉は…」
「亜子さんが…辱められてもられても構わないんですか? 奴らは本気ですよ! これは社会の底辺にいる者たちの、上流社会の人々への報復でもあるんです。このままでは亜子さんは間違いなく…」
「間違いなく、なんだというのだ!?」
この孫娘の恋人と思わしき男の言わんとすることは、秀才で通った行正に理解出来ぬはずはない。
「だ、だが事実を話せば…」
上級国民は、苦悶の表情で孫娘の身を案じる。
祖父に苦悶の時間が流れる間も、可憐な令嬢への淫靡な責め苦は続いていた。と、いうよりも性的な悪戯から凌辱へと一層、残酷さを増したといった方が適切だろう。下着を取り去られ両足の第二関節を紐で繋がれ、むき出しになった鉄骨に結びつけられていた。見事、御開帳を強いられた亜子の秘所。邪な浮浪者たちは代わる代わる、触れることは無論、生では拝むことすら許されぬはずの性穴を、夢見心地で嬲り続ける。
「お嬢ちゃま、さあ、どうなんだ? 恥ずかしい姿と、いやらしい声を世間様に見聞きされてぇのかよぉ~~? おぉ、クリちゃん、固くなってきた、なってきたぁ!!」
最近の不況で、閉店したネットカフェを追われた33歳の中年は、思いもかけずありついた美人令嬢の肉体を弄べるという『炊き出し』に狂喜している。
「あ、あッ…や、やめて…赦して、ああッ!」
嗚咽交じりに頭を振るが、意に添わぬ悦楽を味合わされた下半身は正直だった。開脚させられた内股が、男の指に陰核をなぞり上げられるだけで総毛立つような甘い痺れにひくんひくんと小刻みに震えた。汚れた男の指が、淫唇を出入りするたび、じゅぼじゅぼとふしだらな音を漏らしながら、愛液が内腿を伝って長机にぽたぽたと雫をこぼす。性体験はなかなか豊富なのか、まずまずのテクニシャンぶりで性感を昂らされた亜子は、不覚にも嬌声を上げ、肉体を反り返らせ、所詮女であることを悦びでもって体現してしまう。
「最高だぜ、このお嬢様。見かけによらず大層スケベなご様子だ。下の口の方からもお下品な喘ぎをおもらしだぜ、はっははは!」
「待て待て、成太さん」
と、宇佐美は昇天寸前の亜子をいたぶるべく、悦楽の寸止めを掛けた。成太と呼ばれた中年男はかなり不服そうだった。が、明確な序列とそれに伴う『グループワーク』で成り立つ今回の誘拐劇の首謀者である宇佐美の言葉には抗わなかった。
「昇天させるのはまだ早い。女ってのは濡らせば濡らすほど、エロくなるもんだ。俺たち下世話な賤民に拉致られた孫娘が、悦びにむせび泣いてオーガズムを感じ、潮吹きシーンを晒すところを鍋島に見せてやるのはまだ少し先の方がいい」
宇佐美は残酷にほくそ笑む。
「安心しろよ、亜子お嬢さん。そんなモノ欲しそうな貌しなくても、ばっちりこの世の極楽を存分に味わってもらうからよ。この東京に住まうホームレス仲間にできうる限り招集をかけて、お前さんのその瑞々しい肉体を嬲ってもらう予定だ」
「そ、そんなぁ…」
涙目の亜子は、この悦楽拷問がまだまだ序の口であること、そして見ず知らずの身分卑しき男たちの餌食になる運命が待っていることに、絶望を禁じ得なかった。
「よし、ここを特定されてはまずい。次の調教場所に移動するとしようか。亜子お嬢様に猿轡をかませろ」
宇佐美の命令で、亜子の口に薄汚れた手拭いがねじ込まれ頬肉が引き絞られる。綺麗な貌が残酷に歪んだ―――。
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