第5話 辱めの幕開け
ぴちゃぴちゃという淫猥な、男女の肌が触れ合う音に、亜子のくぐもった喘ぎが交錯する。
「ンン…ンンンンッ…う、うぅ…」
目の前に突き出され強引にまぐわされたペニスを、その上品な口で奉仕せざるを得ない亜子。それでも拘束された手首に結束バンドが食い込む痛みも忘れ、身を捩って抗おうとする。が、その綺麗な髪を頭上から鷲掴みにされては、なすすべはなかった。拒めば暴力の制裁が待っているという恐怖心は、拉致される際、十分に味わっている。が、今の亜子はその恐怖と比肩するだけの屈辱を味わっている。
「はあ、はあ、はあ、はあ…あうんッ! た、堪んねえ…堪んねえよッ! これが上級国民のお嬢様のフェラ…かよッ! …おうぅッ!」
亜子の美貌に輝く薄ピンク色の唇をこじ開け、その仮性包茎のペニスを咥えさせているのは、二か月ほど前に浮浪者になった中年太りの『キモヲタ』めいた眼鏡の男だ。フレームの片側が壊れ、テープで補修している眼鏡がずり落ちるのも構わず、生まれて味わう女性の口での愛撫に、恍惚の表情だ。
(な、なんなの、この匂い…? 今まで嗅いだことの無い臭さ…)
亜子は涙目になり、精いっぱい広げた唇の端から、男の先ばしり液を滴らせながら、懸命に嘔吐を堪える。そのズボンのジッパーからそそり勃つイチモツは、口に含むだけで生ごみと獣の死体を混ぜたような混合臭を放つのだ。男が自らぺろりと包皮を剥き、突き出したソレに気絶しかねない嫌悪感を覚えつつ必死で堪える亜子。汚物でも口に入れるような決死の覚悟で、舌を用い愛撫するたび、男の包皮の垢が剥がれ落ちる感覚に死にたい気分になる。
「オラ…オラオラ…もっと気持ち良くしてくれよ、お嬢様?」
傍らでその様子を小気味良く眺めていた宇佐美が、声をたてて嗤う。
「はっははは、あんまり急かすなよ、健太。ただでさえ異常に臭せえ、お前のイチモツだぜ。お上品なイケメン坊ちゃんの綺麗なチンコしか知らない亜子お嬢様は、しゃぶるだけでも地獄の苦しみだろうよ」
宇佐美の言葉にも、健太と呼ばれるキモヲタは怒りを覚える様子はない。むしろ不遇な自分が今、亜子のような女と性行為の真似事に興じる悦びを実感し、燃え上がっている様子だ。
「ふう、ふう、ふう…そ、そうだよね。38歳童貞、ネットカフェ暮らし4年、女の子には縁のない僕だもん。そんな僕が…こんな…お嬢様に…チンコを咥えてもらえて…チンカスを…ザーメンを…飲み込んで貰えるんだからぁッ…くぅ~~…ついつい…せっついちゃうよねぇ!」
健太は完全に、性欲に理性を失っている様子だ。
(仕方ないわ…早くフィニッシュに導いてあげなくちゃ…)
亜子もそれ相応のテクニックは身に着けている。下手をすれば、親子ほど年齢の離れた中年童貞を心地好くするくらいはいとも簡単なことだ。柔らかい舌遣いで、健太の亀頭を、特に尿道口をチロチロと可愛がってやると、子供みたいに喘ぎ悶え、しばしカリ首を刺激してやるだけで、彼はあえなく果てた。口内に広がる異常に青臭く苦い液体を嚥下すると、強烈な嘔吐感が迫ってきたが必死に堪えた。吐き出しでもすれば、プライドを傷付けられた男が逆上しかねないと、亜子は察したからだ。
(今は耐えるしかないわ。耐え忍ぶしか…)
拉致・監禁・そして凌辱の始まりにも、亜子はその聡明さと、気丈さをもって運命に抗おうと心に決めたのだった。
「うぅ~~ッ…」
夥しい白濁とした液体が、ぼぼっと蠱惑的な唇からあふれ出て、その端正な白い貌から滴り落ちる。都合六本目の浮浪者のペニスに『ご奉仕』させられた亜子は、カクンと艶めかしく項垂れた。その様子を満足げな表情で、スマホの録画を停止した。
「いい画が撮れたぜ。これを鍋島のジーサンに届けるのが、東出、お前の仕事だ。まぁ、目の中に入れても痛くないほど可愛い自慢の孫娘が、見下し続けた浮浪者集団にとっ捕まって、性奉仕を強要されてるって知ったら、どんな気持ちになるかなぁ、こりゃあ愉快だぜ」
宇佐美の残酷な薄嗤いが、これから亜子が受ける仕打ちの幕開けを予感させた―――。
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