38 認知バイアス(独白)
17
「あはっ、何人もの友人を切り捨ててきた女の言うことは信じないほうが良いよ」
――
小さい頃から人懐っこい言動を取るので、同級生からも大人からも慕われ、可愛がられてきた。が、永遠の友情を誓い、抱き合った友人だろうと、自分にとって不必要と判断した途端、すっぱりと損切りできる性格だった。小中学校ではそうしてきたし、この状況もまた同じなのだ。
「全員が助かる方法はないのかよ」
――
自他ともに認識しており、ここで背を向ければ、狂人たちから
情けない自己
「クソ、なんでこうなるわけ……」
――
が、フタを開けてみると存外まともな人種なのだと実感した。好きな人のために醜態を晒し、苦痛も耐えられるなんて変態的思考は、頭蓋骨を外しても出てきやしないのだ。さっさと帰宅して、暖かい布団にくるまりたい。
心身の痛みに歯を食いしばりながら、くじに参加する覚悟を決めた。
「クソなんて言わないでほしいな。ここは調理室だよ、わかるかい?」
――
それは、【五大の罪】を法と見なす満喫町で、資格者が襲われるわけがないという、葵の紋を提示するくらい無意味なバリアだった。
力で屈服させられる
力もないくせに己に酔い、軽々しく他人に死を謳ってしまう者は、ダイレクトに返ってくる代償の重さを認知していないのである。
そもそも、人食いの文化なんてどこで見知ったのだろうか?
家族の
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