1食目『 川愛佳』
0 採食同好会
「――うん。ある同好会をずっと探してんの。でもダメ、約三十万件ヒットのうち完全一致はほぼナシだもん」
それは遠い過去。
『
という単語が、ぼんやりする情景とセットになっていた。
何年前の出来事? 誰からの言葉? ほとんどが
「……思い出せん! ねえ、アナンちゃんはなんか知ってる? って知るわけないよね。あなたと会ったの、そのすぐあとだし」
愛佳は
「あすになれば? そっか、あすから新生活だもん。でも、ちゃんと友達できるか心配なんだ。調子に乗って食い過ぎると、また……」
顔面にかかった茶髪を振り払いながら、枕に顔をうずめる。嗅ぎ慣れた匂いは不安と相俟って、余計に
「同好会に入れば、きっと友達できるよね? わたしの新しい友達、いつかアナンちゃんにも紹介できたら良いね」
――採食同好会。
実体が定かではないモノへの執着が、ここ数年間、愛佳の原動力になっていた。
理由は簡単。
「まあ良いや、なんか食べよ。アナンちゃんも一緒に食べるかな?」
食欲バカだからだ。
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