情報生命体*****の記録
「ふぃー…厄介払い完了っと。さてさてご主人の方はどうなってるかなー?」
一挙手一投足がやたらとうざったい人間をようやく処理して、私は仕事に戻る。
ご主人から言いつけられた仕事は1つ、自分が戻ってくるまで通常の責務を代わりに遂行すること。そのためにサブユニットである私にまで、わざわざ貴重なリソースを割いて頂いたのだ。管理は厳格に行わねばならない。
「会話と思考パターントレースにこれだけ、世界を繋げるのにこれだけ、あいつを送るのにこれだけと。あれ?思ったよりリソース消費が激しい…おかしいな…。」
あの人間を送った時に消費したリソースが想定よりも多いことに気がつく。
「んん?追加でなんか送ってる?これは…あの人間の世界でいう付喪神かな?なんか小さいけど…」
自分の行動を振り返りながらリソースの使用履歴を確認していたら、鋭く警告音が響いた。どうやら貰った分のリソースを使い切ってしまったらしい。
「む?そろそろ機能停止するか。ごめんねご主人。貰ったリソース思ったより使いすぎちゃった。報告報告っと…。」
義務であり、私という端末に刷り込まれた命令の報告を済ませ、サブユニット02は眠りにつく。
ご主人が起こしてくれるまで、暫しの間世界に別れを告げる。
ピーッ
「ん?残しといたサブユニットから報告?」
「何々……。はぁ?人間1人と付喪神1匹を別世界に送った?」
「どういう事?ログはどうなって――」
「あぁ……私のミスじゃないか。それは仕方ないねぇ。」
「どうする?ご主人様、今からでも殺しに行く?」
「いや、止めておこう。せっかく地球人の中で1人だけ生き残ったんだよ?その幸運を讃えて放置してあげようじゃないか。」
「了解!放置しておきます!」
「そうしてくれたまえ。しかしまぁ、本当に幸運だね、その青年は――」
「私達が地球文明を滅ぼすために開けたゲートで脱出するなんて、ねぇ?」
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