その後の顛末

「それにしても大変でしたね望月先生」


入江教授が望月教授を労う様に言った。


「いえ、大丈夫です」


望月教授はそういうと気丈に笑ってみせた。


「しかし……まさか、あんな事になるなんて」


「ええ」


望月は思い出したかの様に少し俯いた。


「でも、望月先生が第一発見者になってしまったので色々聞かれませんでしたか?警察とか」


「ま、まぁ色々と……でも、事件性はないといってました。外傷もなくて、とても不思議がってましたけど」


「…らしいですよね。脳梗塞ってわけでもないらしいから、本当の突然死って事になるらしいし……でもねぇ、なんで公衆電話の中で?まるでミステリーですよ」


「本当にそうですね」


「ミステリーと言えば彼の遺品の中から出てきた日記もかなり内容がやばいらしいじゃないですか?未来電話がどうとか……ヒーローとか悪とか謎のネガティブなポエムみたいなのも書いてあったんでしょう?」


「ええ、まぁ。でも、それも含めてちゃんと残そうと思ってます。それに、私の研究の糧になるかも知れない内容なので」


「望月先生の専門と言ったら、AIでしたよね?参考になりますか?こう言ってはなんですけど……山吹はAIに関してはシロウトですよ」


「確かに…でも、山吹教授の授業を受けてAIの研究員になろうと思いたったのは事実ですし。もしも、本当に未来のAIに人類を滅ぼす様なウィルスをばらまく様な人間が現れると仮定するなら、対策をしないといけませんからね」


「望月先生までそんな事を……」


「いえ、もちろん全部を鵜呑みにしたわけではないんですけど……気になるんですよね」


「気になる?…と言いますと?」


「山吹先生……笑ってたんです」


「へ?」


「なんか、今まで見た事がないような穏やかな顔で、微笑みながら亡くなってたんです」


「…それは初耳」


「それで、何があったのか知りたくなって調べていくうちに、これは本当に重要な事なのかも知れないと思えてきたんです」


「ま、まさか望月先生まで信じるんですか?……未来からの」


「わかりません……今は」


そう言って、望月は微笑みを浮かべた。


山吹の最後を思い浮かべて。

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