最後のメッセージ
しかし、ふと思い直した。
もしここで望月が帰って来たらどうなるのか?
彼女は勝手に公衆電話を取ってしまうかもしれない。
そんな事になったら!
「だ、駄目だ!」
山吹はそう叫ぶと飛び跳ねる様に席から立ち上がると酒と年齢のせいで弱った足を引きずる様にしながら必死で公衆電話までたどり着いた。
それでも、暫く受話器を睨んだが、意を決して震える手を抑える様にしながらそれを掴んだ。
「……も、もしもし」
『も、もしもし?あなたは……ヤマブキ?』
やっぱり、そうだ……ミクの声だ。
山吹は後悔したが腹を括るしかなかった。
「……そうだ。私はヤマブキ、そちらでどう言われているかしらないが」
『良かった……救世主ヤマブキ。驚かないで聞いてください。これは未来からの電話です』
「救世主?うそでしょ?」
『未来からの電話というところは疑問ではないようですね。こちらはMother of mother未来の世界を統括しているAIです。私の予測演算ではあなたを救世主として算出しました』
「まてまて、ちがう!それはちがう!何が原因かわからないがその予測演算が間違ってるんだ!」
『はい?間違ってはいません。大丈夫です』
「いいか!よく聞くんだミク!いや、Mother of mother!今すぐ予測演算をやり直すんだ!電話をかける相手は私ではない!」
『救世主ヤマブキ……何度も言いますが大丈夫です、世界を救えるのはあなた』
「なんで、わかってくれないんだ」
『お願いします。冷静になって下さい』
「……私は冷静だ」
山吹は受話器を握る手が小刻みに震えるのを、もう一方の手でなんとか抑えようとしていた。
『兎に角、未来は今とても危険な状態です』
「……」
『聞いていますか?今、人類は滅亡の危機に瀕しています』
「……うそだ」
『………はい?』
「う……そだ……嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!全部嘘だ!!」
『ミスターヤマブキ?』
「うわぁぁああああああああ!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます