お見舞い
「先生!お客様ですよ!」
階下で大柄な家政婦が声を張り上げるのが響いた。
「お……きゃくさま?何言ってるんだちみ……誰にも会わないと言ったろ……ヒックッ」
上から何やら酔った様な山吹の声が微かに聞こえてきた。
「でも……どうしても会いたいらしいですよ、ご友人ですよ」
尚も食い下がる様に家政婦は螺旋階段のある吹き抜けの下から大声で叫んだ。
「はぁ?……ゆう……じん?……いりえか?やつなら会わん!わたしは……正常なんだ、どこも……おかしかぁぁぁあない!」
最後は少し興奮気味に叫ぶのが吹き抜けに響いた。
「入江様ではありませんよ、望月様です。会わないんですか?」
「もち……っき?………」
暫くしてドアが開く音が聞こえてきた。
「悪い……通してくれ」
少し酔が覚めた様な声で返答があった。
望月教授は安堵した様に微笑むと、久しぶりのお客様に満面の笑みで迎え入れる家政婦に会釈した。
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