待ち侘びた変化


あれから数十年経った。


私ももうかなり歳を取った。


まだ頭はしっかりしていると思うが身体が言う事を効かなくなってきた。


今、こうして西湖大学のオープンスペースの定位置に腰掛けて例の公衆電話が置かれているあたりをボンヤリと眺めているんだが……電話を待ってるわけではない。


おそらくもう、鳴らないような気さえしている。


それどころか、あの二回の不思議な電話はわたしの白昼夢ではなかったのかとさえ最近では思えてくる。


それくらい現実味のない話だ。


一度だけ望月教授に話したけど、笑わずに聞いてくれたっけ。


それ以来、身体を労られる様になったのは少しショックだったが……まぁ、普通はそうだよなと諦めた。


むしろ、そっちの方……わたしが少しばかりおかしな夢を見やすい質だと言う説の方が納得しやすいとまで思えてくる。



そんな、時にその電話は鳴った。

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