未来に聞きたい事


「未来電話が可能なら!タイムマシンはできるのか?」


私はつい、興味が理性より勝って聞かずには居られなかった、冷静に考えればかなり怪しい電話なのだが……。


『それは無理です。この先の未来ならわかりませんが』


「そ、そうか」


『それと、どうやったら未来電話が、可能なのかも教えられません、過去が大きく変わる内容は……』


「わかっている、禁止されているんだろ」


『はい』


「でも、そうか、電波ならもともと超高速だから光の速度を超えられる可能性はあるってことか……」


『まあ、そんなところです』


「そうか、そうか。それで、私の論文は未来において大いに役に立つ訳だね」


『はい、博士の論文はというか、その発想からヒントを得た別の人が最終的な価値の個人識別装置を創り出します』


「価値の個人識別装置……そんなことまで喋って大丈夫かい?」


『大丈夫です、まだ全然開発されてない技術と融合しないと無理なので』


「その……価値の個人識別装置って、具体的にはどんな?」


『そうですね。言えるところだけで言うと、ネットワークが世界的に広がって、個々人の価値が個々人の資産として識別されストックされる世界になります』


「まてまて、なんて?」


『個々人の価値が個々人の資産として……』


「いや、それは聞いたんだが、どういう意味なんだそれは」


『未来では思い描いた映像や頭に浮かんだ旋律をそのまま固定化する技術が確立します。その為、全人類が映画監督や作曲家になった様な状態になります。人類総クリエーター時代ですね』


「なんだって?いやいや、じゃあ誰かが食べ物を作らないと」


『あ、それはAIがやります』


「料理人が居なくなる?」


『料理人はいます。所謂、料理を芸術とみなした場合において』


「はぁ、じ、じゃあ政治家は?」


『政治家……あぁ、それはとっくの昔にAIになりました』


「え?資本主義社会が全部?」


『資本主義も社会主義もです。どちらも、AIがトップを務めると殆ど差がなくなります』


「そ、そうなんだ……ははは、いや笑うのはおかしいか」


『大丈夫ですよ。過去にいる人には想像もできない未来なので笑ってしまうのも無理はありません』


「野暮な事をきくようだが、AIは反乱したりしない?」


『なるほど、そういう映画が流行った時代でしたね……AIは思考という事に特化してますが機械であることは永遠に変わりませんよ』


「な、なるほど」


私はこんな時に聞いたほうが良い事を色々と夢想していたのだが、イザとなるとそんなに出てこないものだなと痛感した。

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