ドクターって誰の事?
しばらく黄色い公衆電話との睨み合いが続いたが一向に止む気配のない呼び出し音に根負けした私は不承不承近づいていくと思い切って受話器を取った。
「もしもし」
『よかった、ドクターですね?』
受話器から聞こえたのは若い女性の様な声だった。
「いや、人違いだ。おそらく君かけ間違っているよ私は医者じゃない。ここは西湖大学の学内だよ」
私は相手が何かの手違いでかけてしまったのだと思い丁寧に説明した。
『間違い?いえ、ドクター、間違ってはいません、あなたはヤマブキハカセですね?』
?!どういうことだ?
確かに私の名前は山吹だが、、
「あの、確かに山吹だが博士ではないし誰かと間違っていらっしゃるのでしょう?」
私は唐突に名前を当てられたのと、博士と呼ばれる違和感でドギマギした。
『あ、そうでした。すみません、今はヤマブキ教授ですね?』
「いまは?」
『はい、今はそうですけど未来では博士と呼ばれていますDr.ヤマブキ』
「は?未来だって?」
『はい、未来です』
「いやいや、そんな馬鹿な」
『本当です』
「なんだ?またおかしなテレビか?そういうのは他を当たってくれ、私は忙しいんだ」
『はぁ、そうですか。それでは一言だけ言わせて下さい』
「何を?」
『ありがとうございます。Dr.ヤマブキ、あなたのお陰で世界は救われました』
「…………え?」
『では、失礼します』
「ちょ、ちょっとまて!」
『どうされました?』
「え?いや……どういう事だ?」
イタズラにしても、あまりにも意味がわからない台詞に意表をつかれて私は興味が湧いてきた。
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