理想の相手、見つけちゃいました

第15話 反省会 of the end

昼休み以降の記憶はございません。

「お前は一体何をいっているんだ」

ですから、昼休み以降の記憶はございません。

「……いい加減にしなさい」

「ごめんなさい」

若干、みっちゃんの額に青筋が見えた気がして、私は即座に謝った。私がしおしおとしぼんでいく様子を見た彼女は、大きなため息をつく。

「ま、とりあえず、彼と知合いにはなれたんじゃないの？」

「そうだよね！！　一歩前進だよね！」

「……うん」

奥歯にものが挟まったように、みっちゃんは肯定の言葉を絞り出す。

「みっちゃん。一言お願いします」

幼馴染のそんな様子から、私だって流石に察するものがある。

「……奇声を発しながら、教室から逃げ出そうとする女子」

「ぐえ」

「ぐにゃぐにゃとしか話さない女子」

「あふん」

「仕舞いには鼻血を出す」

「……」

もう、私の心はボロボロだい。一言っていったのにぃ。

「き、き、き……嫌われちゃった？」

恐る恐るみっちゃんにも確認しておきたい。彼――藍染くんに嫌われるようなことがあったら、ショックで寝込むかもしれない。

「いや、それは多分大丈夫」

「ホンマでっか！？」

「でも、そうやって変な話し方してたらいずれはそうなるかもよ」

「……うん」

本当に返す言葉もない。『緊張しちゃって彼と上手く話せないの☆』と言えば可愛らしいのかもしれないが、現実はパニックでカミカミな状況なのだ。由々しき事態です。

「とにかく、まずは落ち着いて話せるようにすること！　せっかく葉切くんが気を遣って部活見学に誘ってくれたんだし」

「うう……分かっているよぉ」

藍染くんの友人である葉切くんには感謝しか無い。そして、色々フォローしてくれているみっちゃんにも、だ。

「みつりちゃん、ホントにいつもありがとう……」

「いーよ。れんのそんな姿、初めて見るしね。ちょっとおもしろいよ」

「人の痴態を笑わないでよ……」

もちろん冗談だというのは分かるけど、振り返ってみると自分の姿は本当に酷かった。

「よしっ！　私、頑張るよ！！」

「結局、藍染くんのこと好きなん？」

唐突に、みっちゃんは核心的な質問を放り投げてくる。私はそのボールを受け取っても持て余すことしかできなかった。

「……まだ、わかんない」

だって、ちゃんと話してすらいないんだもん。

「傍から見てるとアレなんだけどね……ま、ゆっくりでいいんじゃないの？」

みっちゃんは私の頭をぽんぽんと叩いて、「かえろっ」と言ってくれる。

私も鞄を手に持ちつつ、ゆっくりと頷いた。