第84話 衣食住の大切さ

「お待たせしました。おにぎりとナポリタンです。」


珈琲を飲み終わりそうなさくやさんの前に料理を置く。


「うわぁ、すごい……おいしそう……。料理作れたんですね!」


さくやさんが目をかがやかせながら言う。


「元々かじった程度でしたけど、ここを開くにあたって前のオーナーさんとかから教えてもらいまして。なんとか頑張ってます。」


俺は恥ずかしさ混じりに微笑んで、カウンターに戻る。


「いただきます…………!!」


律儀に手を合わせ、おにぎりを食べた彼女は顔をほころばせた。


そんなに嬉しそうに食べていただければ、こちらとしても嬉しい限りです。


「うん、おいひぃです!!」


ナポリタンを食べて目を点にして驚き、さくやさんが言う。


何故おにぎりとナポリタンという組み合わせかというと、これは彼女が選んだのではなく俺が選んだ。


オススメでと言われたので、オススメの二つを提供した次第。


「なんか、ずっと働き詰めでご飯はコンビニとかのだったので、改めて今その大切さを感じています。」


ナポリタンをたいらげ、おにぎりの二つ目を手に取りながらさくやさんがつぶやく。


分かる。その気持ちマジわかる。


俺も会社に住んでた……というか、住まざるを得なかったとき、ずっとカロリーのメイトとカップ麺で生きていた。


俺以外のみんなも似たような食生活をしてて、集めたカップ麺のゴミが身長よりも高く積み上がって、見かねた用務員のおばさんが作ってくれたカルボナーラの味は今でも忘れられない。


あの人が目の前で作ってくれた温かみは、なんとも言えない安心感と美味しさだよね。


「コンビニも美味しいですけど、温かいご飯は良いものですよね。」


俺は深く頷いて返す。

衣食住のうちの一つを担ってるからね、ご飯は大切だよ。


というか、今思ってたけど会社に住んでた時代の俺、衣食住全コンプしてるわ。


衣、常スーツ。会社のシャワー浴びてスーツからスーツに着替える。


食、カップ麺とカロリーの友。


住、会社のデスクに死にかけで突っ伏す。


…………よく生きてたな、俺。


「本当に、おいしいです」


満面の笑みではなく、今ある幸せを噛みしめるような優しい微笑みでさくやさんがつぶやく。


「仕事も大切ですけど、休むのも大切ですよ。」


「北原さんが言うと説得力すごいですね。」


右手の人差し指をピンと立てて言えば、さくやさんが笑ってくれる。


「そうですか? まぁ、休みたくても休めないから仕事なんですけどね。」


休みたくて休める仕事もあるが、大抵の場合休めない。


有給なぞ取ろうとしたときには、漢字のハネハライの間違いすら指摘されて返されてしまう。


……それは流石に言いすぎだが、雰囲気的に言い出せないのだ。


上司が取らないから自分も取れず、自分が取らないから部下も取れず。そういう悪循環ね。


「それは本当にそうです。この後もまた一つ行かないといけなくて。」


さくやさんが小さくため息をついた。

お疲れのようだ。


「おかわりどうぞ」


俺は少しでも癒せたらと思って、空になっていたカップに珈琲を注いだ。







 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 


カクヨムコンの読者選考期間が明日までです!


あと1日なんです!!


最後に、この作品を応援してくださるなら、下の☆☆☆よろしくおねがいします!!


正直無理かと思うけど、それでも最後まで諦めたくはないのです!


フォローもぜひ!!

♡もコメントもぜひ!!

レビューもよろしくおねがいします!!


あなたの力で私を一位しないかい!(魔法少女風


最後によろしくおねがいします!!

とうぞご贔屓に!!!!!!(毎日お目汚しすみません

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る