第55話 男3人で運搬作業
あれからは、俺の日課にごはん作りが加わった。というか、それが生活の中心に来たと言っても過言ではない。
なんなら作りすぎてしまい、自分では食べきれなくなってしまうことも多々ある。
いつも何かをくれる近所のおばあさま方にお返しとして配ってるけど、なかなかに好評だ。
「でもって、今日が予定日なのよね。」
なんの予定日かといえば、神之さんと雪さんに任せていたお店の機材とか設備とかが運ばれてくる予定の日。
何が来るかは事前に話し合ってるから分かってるんだけど、いざとなるとやっぱり緊張してくる。
俺がソワソワして無意味にお店の中を歩き回っていると、
「どうもー、神之です」
玄関からそんな声が聞こえた。
き、来たのか……!
俺はすぐさま玄関の扉を開けて出迎える。
「久方ぶりで。やっと届けに来れましたよ。」
「お久しぶりです。」
嬉しそうに笑う神之さんの横から、雪さんも顔を出して頭を下げてくれる。
「お久しぶりです。待ってました。」
俺も頭を下げて、微笑む。
「結構あるから、早めに始めないと終わらないかもしれません。」
「頑張りましょう。」
「はい!」
俺は神之さんと雪さんに続いて、表に出た。
そこには軽トラックがあって、その荷台一杯に機械やら椅子やらが置いてあった。
「まずは機械類ですかね。」
「そうですね。」
神之さんと頷き合って、俺たちはその山と格闘を始めた。
そんな一杯の機材何に使うんだと言われれば、俺もよく分からないところが多い。
珈琲に関しての機械も、調理機器も揃ってるし、これ以上なにか必要なのかと思うが、必要らしい。
俺が分かるのはドリンクバーくらいだ。
今まではなかったけど、やっぱりドリンクバーあったら嬉しいよねってことでつけることにした。
めっちゃ種類がある大きいやつじゃなくて、小型なやつだけど主要な飲み物は揃ってるから問題はない。
「ふぅ、いやぁ疲れましたね。」
「そうですね、運ぶのに一苦労ですね。」
「お茶でも飲みましょうか。」
神之さんと雪さんが背伸びをしながら言う。
みんなでやったから時間はかからなかったけど、やっぱり疲労はかなりある。
みんなそこまで若くないからね。
お前は二十代だろって言われるかもしれんが、心と体はもう45くらいの気持ちだから。
というか、神之さんは腰を痛めたって言ってたけど大丈夫なのだろうか。
これでギックリしちゃうとか洒落じゃないから、無理はしないでもらいたい。
「後でこれの配線とかをやってくれる方も来ますから、使えるのはその後ですね。」
「なるほど。」
冷えた緑茶を飲みながら、神之さんが言う。
今までも豊富だったキッチンの設備が、より一層豊富になって、見た目がカッコよくなった。
なんか大きいのが2,3個あるけど、あれが俺に使いこなせるのか。
まぁ使ってくうちに徐々になれていくだろう。
…………多分
「じゃあ、最後がんばりますか。」
「よぉし!」
「頑張りましょう。」
立ち上がった神之さんに合わせて、雪さんと俺も立ち上がる。
俺たちは次やる山。椅子と机たちに向かっていった。
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