第47話 伊予と松山は…ってやめ、やめろぉ!

「では、改めまして今回はお車のご購入誠におめでとうございます。」


ぴしっと姿勢を整えたお兄さんが、頭を下げて言った。


「ありがとうございます。すごく、満足です。」


俺はこちらこそと頭を下げ返して、お礼を述べる。

本当に、数多くの販売店の中からここを選んでよかったわ。


「どうぞ、安心安全運転で楽しいカーライフを。」


「ありがとうございます。」


俺はお兄さんと再度挨拶を交わして、車に乗り込む。


ハンドル横に鍵を刺して回せば、低い唸るようなエンジンの駆動音がした。


実はちゃんとエンジンを付けるのはこれが初めてだったりする。

結局試乗はしなかったからね。


「いってらっしゃいませ。」


俺はお兄さんに見送られて、車を走らせ始めた。


車屋さんから出る曲がり角で早々にこすりそうになったのは、ナ・イ・ショだ。


せっかく、初めてのマイカーでの運転ってことなので、どうせなら瀬戸内海渡ってみるかということで。


俺は松山市に向かっていた。


俺の住む伊予市と県庁所在地である松山市は案外近くにある。

では隣り合っているのかと言うと、残念ながら隣り合っていないんですねぇ。


伊予と松山の間には、松前まさき町と砥倍とべ町があって、ギリギリ接していないのだ。


松山市に行ったら、国道317号線に合流し、それをまーーーーっすぐ行くと、今治市にたどり着く。ここはあの今治タオルで有名な今治だ。


で、その端っこまで行くといよいよ皆様お待ちかねの瀬戸内海だ。

国道をそのまま真っすぐ行ったら広島まで行ける。


世界初の3連吊橋として有名な来島海峡大橋とか、しまなみ海道こと西瀬戸自動車道とかも経路にあるので、知っている人も多いかもしれない。


広島。つまり本州に行っても別にやりたいこともないので、そのまま国道戻ってくる。


そんな感じのルートで旅にでます。


なんか分かった感じに行ってるが、ドライブなんてしたこと無いのでナビ様に頼ることは決定している。事故らないように頑張ろうと思うよ。


「えっと、ナビさんに目的地入力して……よしっ。」


ちゃんと止まってナビを操作する。

走りながらやったらながらなんとかで捕まっちゃうからね。


慣れてきたらいろんな規則を破る人も多いかもしれないが、俺はまだ初心者だし。ルールは守ったほうがいいよ。うん。


「右よし、左よし。後ろよし、前よし。」


しっかりと確認して、道へと出る。


ここからはさっきも言った通り松山市までブーンっと走る。


俺は松山と伊予が触れてなかったの意外に初耳だなと思いながら、車を走らせた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る