第14話 お金お金ぇ!!!

「やぁすみだぁ!!!」


定位置となっているこたつの真ん中で俺は宝くじを広げる。


「今日でこの宝くじともおさらば。その代わり、俺は大金を手に入れリュ!!」


PCで換金方法や場所を調べて、準備は満タン。


「いざ!みずのは銀行へ!!」


俺はこたつから飛び出した。



 ◇ ◇ ◇ 



家からまぁまぁの距離に支店があったのでそこまで歩いた。


「すみません。」


「はい、如何なさいましたか?」


気の良さそうなお兄さんがにこやかに返事をする。

うん、見事な営業スマイル。社畜の俺じゃないと見逃しちゃうね!!


「宝くじの換金に来たんですけど。」


「はい。かしこまりました。券をお見せください。」


俺は厳重に封筒に入れてある、宝くじを胸ポケットから取り出し、渡す。


「っ!! ありがとうございます。こちらへどうぞ。」


少し驚いた顔のお兄さんに連れられて、窓口の奥のなんか高そうな部屋に入る。


これが噂に聞いた別室待遇!!!すばらしぃ!!

って、まあ俺も銀行業だし入ったことは何度もあるけどね。


「こちら、年末ジャンボ一等になりますね。えー、前後賞合わせまして10億円となります。税金の方もこの場合非課税となります。高額となりますので、個人情報確認できる書類ありますでしょうか?」


「こちらです。」


俺は再び胸ポケットから昨日まとめた書類たちと、カードを出す。


「ありがとうございます。少々お待ち下さい。」


お兄さんは奥へと消えていった。


「ふぅ落ち着け俺。大丈夫。変なことをしてるわけじゃない。ちゃんと買ったんだから。」


俺は胸に手を当てて自分を落ち着かせる。

何も悪いことはしてないしやましいことはないのだが、何故か心臓がバクバクする。


「失礼しました。北原将也きたはらまさや様でお間違い無いでしょうか?」


「はいそうです。」


俺は小さくうなずく。


「当選金ですが、どういたしますか? 銀行振込でよろしいですか?」


「は、はい。よろしくお願いします。」


震える声で答える。


「では、通帳の方失礼しますね。」


「はい。」


さっき出した書類の中の通帳だけを取り出し、奥へと行くお兄さん。


「こちら、通帳となります。ご確認ください。」


返された通帳には、1,000,000,000の文字。

うん。なんか桁が違う。


おで、一生使ってもこれ使い切んねぇと思うだ。


「あ、ありがとうございます。」


「いえいえ。おめでとうございます。」


「では失礼します。」


「またのご利用お待ちしております。」


社会人の定型文をやり取りし、俺は接待室をでて、銀行を出て少し歩き、


「いやったぁ!!!!!億万長者だぁ!!!!」


叫ぶ。


この興奮を抑えられるだろうか? いいや、無理だね。


俺はスキップしようとして、自分ができないことに気づき、なぜか早歩きをして進む。


「ニャーーー」


銀行と家のちょうど間。猫の鳴き声が聞こえた。

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