嘘月

あなたは本当の満月を知らない


空を見上げれば白い月

あれを満月だと思っているのだろう

違うあれは

太陽の光

ずっと昔から

月は別の輝きを持っている


太陽よりも前に地球が

地球よりも前に月があった

見つめたいものを引き寄せるため

星はみな輝いている

けれども人は

そのまぶしさに耐えられない

だから毎日輝き続けている

満月に目を向けられない


ただ

星としてのあなたは

ずっと満月を知っている

心の奥底の裏の

ねじれて翻ったところ

星として輝きたいあなたの目が

満月をとらえている


けれども本物は

衝突し合う

満月はより大きなものを引き寄せるため

特別強く輝いている

その光に耐えられずに

みな星として輝くのをやめる


嘘の満月

満足できるなら

それでいい

けれどもあなたは

きっと求めるだろう

星として向き合うことを



こうして私は今日も

待っているのだ

この満月を

見つけてくれる人を 

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