第113話 確定!?
「凄い……」
Sランクの男の腕は元通りになった。
さて、ここで俺は更に脅そうと思う。
なんせこいつはフレアを貰うと言った。
裸体を晒したシロガネよりも許せんっ!
「さぁ、腕は治しました。貴方は俺の大事なフレアを強奪しようとしました。その罪は許されません──」
俺はスワロウ改を額に当てる。
「ひっ」
「二度と俺達の前に顔を出さないように? じゃないと──こうなりますよ?」
俺は充電していない状態でスワロウ改をシロガネ目掛けて放つ。
弾丸はメリルさんの【獄炎魔法】だ。
危険な上位魔法をシロガネに撃った理由は──
どうせ──
「ほれ」
大きな狼形態になったシロガネは軽く軌道を空に逸らして避ける。
「お前絶対おかしいだろ……」
上位魔法を軽々と弾く姿を見て、災害レベル半端ないと思った。
「何も言わずにあれを放ってくる主の方がおかしいだろうに……」
上空で大爆発を起こし、シロガネは俺を非難する。
「とまぁ、あれを容赦なく放つけど──もう現れないよね?」
「……いや、俺はまた現れる──フレアちゃんを手に入れる為に更に強くなってっ! あの子は俺の運命の人だっ!」
「うん、今死んでくれ」
ロリコン死すべしッ!
その後の事はあまり覚えていない。
俺がスワロウ改から乱発した弾幕をシロガネが周りに被害が出ないように必死に弾き、弾切れになる頃にはバラムが現れて俺を気絶させたのは覚えているが……。
◇◇◇
「──とまぁ、そんな事が冒険者ギルド本部であったんだ」
「「「……」」」
黙り込む皆……。
今は皆で部屋に集まって今日あった出来事を話している所だ。フレアはグランドさんに面倒を見てもらっている。エレノアさんは一人で神に祈りを捧げるとか言ってこの場にはいない。
「フレアはそのうち大きくなったら誰かと恋に落ちるかもしれんぞ?」
最初に口を開いたのはセリアさんだ。
何かよからぬ事を言っている。
「……認めません」
「フレアの幸せを願ってないのか?」
「そんな事はありませんが、野獣のような輩に任す事は出来ません」
「……どんな相手なら良いんだ?」
「最低でもバラム、シロガネには勝てないとダメです」
俺は堂々と答える。
「……無理だろそれ……嫁に出す気が無いじゃないか……」
唖然と俺を見ながら言うセリアさん。
他は無言を貫き通している。きっと俺のフレアの大切さがわかっているのだろう。
『いや、あれは諦めている表情だろ』
[病気レベルの症状に何を言っても無駄だと思っています]
いや、そんな事はないだろ! 皆ならきっとわかって──くれるよね?
俺は周りを見渡していると──
「さて、絶望的なシスコンは置いておいて──とりあえずSランクおめでとうございます」
バラムがぶっ込んで来た。お前までもか……。
やはり、俺は普通じゃないのか?
「聞こえてるからな! シスコンじゃないし! 家族愛だっ!」
「「「……」」」
皆も黙るなよ!
[【確定】天眼のなかーまw]
嘘だ……父さんもこんな感じだったんだぞ!?
俺は普通だ! 後、強調して文字出すな!
『自分ではわからんものだ……』
ぐぬぬ……。
「そういえば──この時期って確か『聖杯』の時期じゃなかった?」
そんなカレンさんの声が聞こえてくる。
「聖杯ですか……」
うん、最悪な時期に来たな……血気盛んな奴らがうようよする時期だ……。
ちなみに『聖杯』とはクラン対抗戦の事だ。
クランとは冒険者の一つのコロニーみたいな物で同じ志を持った集団だ。
パーティと何が違うかと言うと、単純な人数だ。
クランに所属していると単純に仲間が多い為、依頼の成功率が上がる。
ただ、当然ながら報酬も下がるが……。
実際の所は大規模な討伐依頼なども請け負っている為、ギルドや国からの依頼も多く、お抱えクランなどもあると聞く。
ここまで行くとパーティで冒険者をするよりも比較的安全で儲ける事が出来るため、大手のクランは人気だ。
俺達には関係無いだろう。
本部には確かSランククラン──
『無敵』があったはずだ。
なんだその名前?
って俺も最初思った事あるけど、名だたる冒険者が多く在籍しているクランだ。
その規模は最大で冒険者として、そこに在籍する事が出来れば成功者と言っても過言では無いぐらいだ。
当然ながらメンバーは才能溢れる者ばかりだ。
そういえば、あのSランク冒険者は『無敵』の1人なのだろうか?
まぁ、近寄って来たらバラムとシロガネが排除するだけだけど。
それよりも身体中が痛すぎる……2回目の『弱体化』のせいで少し動かすだけで激痛だ。
いつまでこの状態なんだろうか……。
『3日は弱体化する上に1週間は痛みがとれんな……』
最悪だ……今後は使い方をしっかり考えないとダメだな。
弱体化の事を皆に伝えて、その場はお開きになった。
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