第82話 俺のサポートは味方だけじゃない!?
俺達の目の前には強敵であろうゴウキの私兵が囲むように何人も並んでいる。
合計は30人。
俺はそいつらを無視してゴウキの隣にいる『天眼』を見据える。
にやにやと笑ってはいるが、どうやら動く気はないようだ。
これならなんとかなるかもしれない。
「皆、訓練の成果を見せる時だっ! クロムはセリアさんの、シロガネは俺の護衛だ。俺に皆の力を見せてくれ──『身体強化魔法』──」
【応援】の『全強化』と『身体強化魔法』の重ね掛けを全員に行う。
俺はもう吐き気がヤバい……くらくらする……。
早めに倒してくれる事を祈ろう。
全員が頷き、構えて俺を見てくれる。
ここでゴウキの武力を制圧出来れば、後が楽だ。
「さぁ──処刑の始まりだっ! 殺せっ!」
ゴウキの声と共に敵が動き始める。
動きを見るに──全員がAランク級だろう。以前のカレンさんやミリーさん、フレアぐらいのはずだが──
訓練はキンブリーに着くまで俺を含めて、ずっとしていた。そこに俺の【応援】が加われば問題無いはずだ。
継続は力なり──
そして、俺の『応援は力なり』──
だッ!
更に予めキンブリーに到着する前に──魔法銃をもう一丁作成している。
何が起ころうと──怖くは無いッ!
『近接で頑張れよ』
俺は既に頑張ってるんだよ! 動けないの! それに、ここで俺が戦うより、皆を強化してる方が勝率が高いの!
わかるだろ!?
それにこの状況と応援のやり過ぎで、かなり胃がむかむかしてるの!
[むかつく時は一本いっとけ( ⸝⸝•ᴗ•⸝⸝ )੭⁾⁾『胃薬』]
むかっ!
この状況でその顔文字──凄い腹立つわっ!
しかも文字で胃薬貰っても意味ないわっ!
まぁ、【叡智】が特に何も表示してこないという事はこれぐらいは対処出来るという事だろう。
「さぁ──行くぞっ! 各個撃破だっ! 殺しは無しで行こう。死んでなかったら俺が後で回復する。サポートは任せろっ! さぁ、皆──俺と『踊ろう』──」
皆が口角を上げて向かってくる強者共に特攻する。
俺は更に援護をする為に『弱体化』の魔法を敵に使用する。これで有利になるはずだ。
まず、最初に接敵したのはフレアだ。
強化された【神速】で誰よりも一番早くに攻撃に移し──
油断する事なく、敵が攻撃する前に全身を斬り刻む。
しかし、相手もAランク級──
簡単にはやられてはくれない。
フレアに対して、初見の技や攻撃をしかけてくるが──
そこには俺に負けたフレアはもういない。
今のフレアならば多少の環境変化や卑怯な手でも対応出来るだろう。
俺との勝負も無駄じゃ無かった。
こっちはその内フレアの勝利で終わるはずだ。
俺は危ない時用に『結界』張る準備だけして──
次はカレンさんの方を見る。
カレンさんは──
問答無用の大槌で敵を薙ぎ飛ばしている所だった……。
うん、こっちは問題無いな。
敵も死んではいない。
ぴくぴくしてて骨が曲がったらダメな方向向いてるけど死んではいない。
明らかに『応援』無しでも勝てるような気がするぐらいの破壊力だ!
ミリーさんも背後からの奇襲で仕留めている。こちらも死んではいない──はず。
ミレーユはどうなってるかな?
ミレーユの近くに視線を向けると……複数の氷像が出来上がっていた……。
死んでないよね?
ミレーユは俺に微笑を浮かべる。
うん、きっと大丈夫だな。
[仮死状態です。回復を推奨します]
うぉいっ! ミレーユさん!?
すかさず氷を溶かす為にメリルさんに声をかける。
「メリルさんっ! 溶かしてっ!」
「──全くミレーユは……気合い入れすぎでしょ……『獄炎』──」
──『獄炎』!?
「ちょ、メリルさん!?」
轟音と共に丸焼けの人が見えた……。
殺したのではなかろうか……。
「エル君……大丈夫よ……ミレーユの【氷結魔法】の上からだから死んでないわ……たぶん」
たぶんって言ってるじゃないか!?
【叡智】どうだ!?
[瀕死の重症者多数。回復を推奨します]
うぉいっ!
俺は遠隔で死なない程度に『回復』を使う。
「「「うぅ……」」」
どうやら死者は出なかったようだ。
2人共、加減をして──って、ヤバい!?
俺は止まる事を知らないミレーユとメリルさん達の作った大きめの氷柱と火球を呆然と見ている敵に【結界魔法】を即席で作り威力を殺す。
確かにサポートは任せろと言ったが……敵のサポートだとは夢にも思わなかったよ!
しかし、これならなんとか皆無事に終わりそうだ。
たまに俺やセリアさんに攻撃を仕掛けて来るが、『結界』を使って凌いでいる。
クロムやシロガネも問答無用の反撃する時に致死攻撃を仕掛けて行くので敵も手抜きの『結界』で緩和させているが……。
敵もどんどん戦闘不能になっている。
ミレーユとメリルさんの貢献が一番大きいのは間違いない。
フレアやカレンさん、ミリーさんも倒してはいるが、2人ほどではない。
これがSランクの壁か……。
やはり、俺には辿り着けそうにないな……。
『いや、これぐらい余裕だろ……お前どれだけ自信が無いんだ!?』
いやいや、こんなもん俺が出来るとは到底思えないんだが!?
そりやぁ……自分を『応援』したら一時的には高ランク冒険者並だとは思うが──
俺ノーマルだから! フレア達と一緒にしないでくれませんかね?!
[シスコン具合は病気レベルな件について]
うっさいわっ!
そんなやり取りをしながら、殺させないように味方のサポートをしていると既に戦闘は終わっていた。
わかってはいたけど──
『白銀の誓い』って実はかなり強くない?
Aランク級が相手になってないんだが?
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