第51話 効果は抜群だ!
俺はなんとか全員を見つけ出し。
公園らしき場所で今日の出来事を話していく──
「……『魔帝七席』の『天眼』に目を付けられたかもしれないという事かしら? 噂に聞く──全盛期のアランと互角に戦った狂人に?」
俺の言葉に沈黙した空気を最初に破ったのはミレーユだ。
「そうだね……」
『銀翼』内では有名な話だ……父さんは普通に笑い話で言っていたが、災害としか言いようが無いような内容だったはずだ。
全盛期のアランと互角に戦った狂人と言うミレーユの言葉に全員が驚愕している。
父さんの全盛期はヤバかったらしいからな……確か演劇でも採用されてるぐらいの英雄っぷりだったはずだ。
「確か『天眼』といえば──戦闘狂だったわね……ご愁傷様……きっと魔人を倒したエル君に興味を持ったはずよ」
メリルさん……もう少し気の楽になる言葉が欲しいです。
元『六聖』なだけあってさすがに知っているようだ。
ちなみに俺が倒したんじゃないんだけどな……犯人は俺の足元でもくもくと肉を食い続けているシロガネなんです……。
この情報で確定したのは俺がロックオンされた事がわかったぐらいだろう。
「なんとかなりませんかね?」
「無理ね……『白銀の誓い』で相手に出来る人はいないわ……一席は伊達じゃないわ……」
やっぱり?
一席って一番強い人だもんね……。
「エルってば面白い事になってるじゃないの! 戦闘になったら私も呼んでよね!」
カレンさんや……君って脳筋だっけ?
きっと、あまり『天眼』を知らないからだろうな……。
まぁ、でも助かるっ! その時は是非俺の代わりに戦ってくれ!
「エル様……一席はヤバいですよ……」
ミリーさん、わかってるから! わかってるから、一席を強調した後にその哀れんだ顔やめてくれませんかね!?
「お兄ちゃんの凄さが他の国の偉いさんにわかったのです?」
「うんうん、そうだね? なんかお兄ちゃん有名になったみたいだよ?」
有名になったのではなく、目を付けられただけなのだが、フレアは勘違いをしているようなので流す事にした。
「さぁ、皆──何か対応案を!」
「「「無理っ」」」
『天眼』の事を知らないだろう、カレンさん、フレア以外が声を揃えて無理と言う。
気持ちはわかる! 全盛期の父さんと互角の人なんて相手に出来るはずが無いからな!
しょうがない……。
「……じゃあ……旅は延期します」
「「「なっ!?」」」
「旅の途中に狙われたらたまったもんじゃないので、特訓します。──フレア、強くなりたいよな?」
「なりたいのです! もう、絶対に足手まといにならないのです!」
さすがフレアだ! そう言ってくれると信じてたぞ!
俺は満足そうに頷く。最悪フレアだけでも俺は満足だ!
なんせ父さんの再来だからな! 必ず強くなる!
まぁ、最終手段はシロガネ頼みだが。
「あっ、皆は先に進んでくれていいからね? 俺達は(主にフレア)強くなってから追いかけるからさ」
「ふふふ、エル君? おかしな事を言うわねぇ? 私はもちろん残るわよ? 何か秘策があるんでしょ? 噂の『先見』見させてもらうわ」
メリルさんとはミレーユの次に長い付き合いだ。俺に何かがあるのを気付いている可能性があるかもしれないな。
あと、先見なんてなから! それは信じないで!
「そういえば──エルと何回か依頼をこなしてると強くなった気がするわね」
カレンさんには【応援】の『スキル強化』を使っていた事があるからね……。
「なるほど、エル様は人の才能を見抜き──育てる天才なのですね……」
ミリーさんの中での俺の立ち位置が気になる……。
「エル、訓練とやらは──フレアちゃんだけなのかしら? それとも全員?」
「ミレーユ、当然ながら残る人全員だ。これから先──力はあっても無駄にはならない。ここにいる全員は確かに強い……だが──足りない(一席を退けるには)。だから俺が皆を鍛える(応援するだけだが)。俺はパーティリーダーとして皆を死なせたく無いんだ(もちろん俺を守ってもらう為もある)……」
俺の本音はあえて言っていないが、言葉だけを聞くと凄く良い事を言っている気がするな……。
皆、凄く真剣に話を聞いて頷いてくれている。
流れ的にも──あと、一押しかな?
【演説】スキルさん! 出番です!
俺は声に力を込めて更に話し出す──
「強くなる為に──力は欲しくないか? 俺が必ず強くしてやろう……しかも短期間でだ。力が欲しいなら──俺の手を取ってくれ」
まるで俺はどこかの悪魔か何かのような発言をしてしまっている……。
だが──
効果は抜群だ!
俺の手の上にフレアとミレーユが真っ先に手を乗せ、遅れてメリルさん、カレンさん、ミリーさんが乗せてくれる。
うんうん、これで俺の未来は少し明るくなったはずだ。
どんな苦境が訪れようと皆が俺を守ってくれるはずだ!
「さぁ、明日から訓練をするぞ!」
全員が頷いてくれる。
宗教団体の教祖みたいな感じがするが気のせいだろう。
これからどんな形で強化するか考えていかないと……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます