第47話 新たな?攻撃手段(自分の)

 今日は各々が必要な物を買う為に別行動だ。


 フレアもミレーユに付いて行くと言っていた。


 俺も一緒に行こうかと聞いたら──


 ミレーユから強く睨まれた。


 おそらく、女性用品などの買い足しなのだろう。そうに違いない。


 他の女性陣も色々と用事があるようだった。


 周りに対するミレーユの目力が強かったが、それは関係無いと思う……たぶん。


 しかし、別行動と言っても、一応俺にはボディーガードがついているが……。


『主よ、腹が減ったぞ』


 ボディーガードとはシロガネだ。


 ……しかし、こいつの胃袋はどうなっているんだろうか?


 朝からオーク肉を使ったステーキを大量に食ったばかりなんだが……オーク3体分は食っているはずだ。


『お前さ……食い過ぎじゃないか?』


『むっ、主よ、いつの間に『念話』を覚えたのだ?』


 話逸らすなよ。


『昨日だな。お前との悲しい思い出が──神様に届いて、俺にこのスキルを与えてくれたんだ』


 いや、本当に恥ずかしくたまらなかったからな……練習してやっと習得出来たよ。


 これで、犬に話しかける可哀想な俺とはバイバイだ!


『哀れな奴め……』


 ……こいつ。


『とりあえず、雑貨屋に行くぞ』


『何を買うのだ?』


『紙だな。俺の『魔札』が残り少ないんだよ……あれないと攻撃手段が無い』


『あんなもん投げれんと意味がなかろうに……敵に直接貼るつもりか? この間も設置か敵の近距離で使っていたではないか……』


 そうなんだよな……投げても──


 所詮は紙……全然飛ばないんだよな……。


 ナナを助けた時は空に飛んでばら撒いただけだしな。


 いつもは設置しながら罠にかけるぐらいしか使い道が無いのも事実だ。


『何か良い案無いか?』


『仕方ない……我の知能を貸してやろう……我のスキルに【念動】があるだろう?』


 俺は【鑑定】を使う。


 確かにある……【念動Lv7】だな。


『──!? なるほど……シロガネ賢いな。これは思い付かなかったわ。じゃあ、『魂の盟約』のスキル共有は【念動】にするわ』


『うむ、【天駆】はもういいのか?』


から大丈夫』


 うん、シロガネよりはレベル低いけど、もう何回も使ってる内に覚えてたから問題無い。そのうちレベルも上がるだろう。


『はぁ? 頭おかしいんじゃね?』


 いや、驚いてるのはわかるが、何でそんな若者風な言い方なんだよ!?


『失礼な……俺は攻撃スキル以外なら覚えやすい体質なんだよ。それで【念動】スキルはどうやって使うんだ?』


『そんな体質あってたまるか……。使い方は簡単だをするだけで良い』


 へぇ〜、結構簡単なんだな。


『ぬおっ!? 何をする!?』


 俺は試しにを対象に動かしてみる事にした。


 シロガネの【念動】スキルのレベルが高い為か自由に動かす事が出来る。


 これは便利だな。


 ついにこれでまともな魔物に対する攻撃手段が得れた。


 もう何も怖くないっ!(高ランクの魔物は除く)


『いや、周りに動かせる物が無いからつい……すまん』


 俺はシロガネを降ろす。


「エルさん!? 何をしたんですか!? わんちゃんを浮かすなんて!?」


 この声は受付嬢さん!? 何でいるの!?


「あぁ、こんにちは……いやぁ、この犬飛べるみたいですね?」


 さりげなくシロガネが勝手にやった事にした。


『主よ……どういうつもりだ……』


『俺がやったとなったら変な誤解されるかもしれん……すまん』


『やれやれ……──ん? 我に力が戻り始めたな』


 ん? 力が戻り始めた??


「わぁ、わんちゃん大きくなってます? 現在進行形で……」


 シロガネを見るとむくむく大きくなっていく……。


 ──ヤバい──


『シロガネっ! なんとか小さくなれっ!』


『無茶言うでない……うむ、ここは派手に【雷魔法】で派手に登場を演出してやろう』


『はぁ!? 絶対止めろっ! そんな事したら飯やらんぞ!』


『仕方あるまい……』


 みるみる大きくなったシロガネに周りの人が注目し出している。


 もう、なるようにしかならないな……。


 しばらく、すると大きな狼がいた。俺を助けてくれた時と同じ毛並みもサラサラで銀色の凛々しい狼だ。


「「「……」」」


 周りは息を呑む。


 それはそうだろう。わかる人にはフェンリルとわかるし、わからなくてもこんな巨大な狼の魔物だ。


 周りは逃げたくても逃げれないのかもしれない。


 そんな中、話しかける者がいた──


「わぁぁ、エルさん──もしかしてフェンリルなんですか??」


 受付嬢さんだ。


 なんとも肝の座った人だ。


「我はフェンリルだ」


「「「喋った!?」」」


 皆驚いている。もちろん、俺も喋れる事に驚いているので皆と一緒に言っている。


「そうですね……フェンリルのシロガネです。ちょっと訳あって小さくなってたんですよ……」


「危険は無いんですよね?」


「えぇ、俺の相棒ですからね。なっ、シロガネ?」


 俺は念押しの同意を得る為にシロガネに問う。


「もちろんだ。主に危害を加えたら容赦はせぬがな?」


 ニヤッと口を開けながら──


【雷魔法】を使うシロガネ。


 ──って、うぉいっ! 何してんの!?



 スドォォォォォォォン


 巨大な雷により、轟音が響き渡る。


 シーン


 辺りは静まり返る。


 ……これどうするよ?


「わぁ──凄いですっ! さすが『白銀の誓い』ですっ! 災害級のフェンリルを従えてるなんてっ! さすがは英雄パーティです! これはですよっ! ほら、皆さんっ! ここに変死事件を解決した英雄様がいますよ!」


「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ」」」


 受付嬢さんの言葉の後に歓声があがる。


 ……俺は呆然とする。


 何故、こんな事になった!?


「直ぐに本部に連絡して、エルさんの冒険者ランクを上げなければっ!」


 いや、やめてくれませんかね!?


 それより、この状況なんとかしてくれません!?

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