10話 シンデレラ


僕たち4人の前に到着したスプラッシュマウンテンに乗り込もうとすると、

隆と由美子が最後尾になった。


隆「まじかー!満ー!バイバーイ!」

由美子「茜ー!先行ってるねー!」


2人を最後尾に乗せたトロッコは、ゆっくりと洞窟の奥へと進んでいった。



満「バラバラになっちゃった!笑」

茜「う、うん。そうだね!」

2人「・・・」


10秒程、2人に会話は無かった。



2人「あ、あのー!」


満「ご、ごめん、いいよ」

茜「ごめんなさい、なんか久しぶりだね。会うの」

満「本当だね、びっくりしたよ。俺の秘密知ってるの茜ちゃんだけだよ笑」

茜「そうなんだ。隆くんも知らないんだ」

満「うん。てか家族も知らない。」

茜「秘密にしとくね」

満「ありがとう」


トロッコがやってきた。


「みなさん、手や顔を、トロッコの外に出さないでくださいねー♪」


軽快かつ愉快な音楽と共に、トロッコは光の指すトンネルの出口へと走り出した。


途中なんどか、落ちるフリをしたトロッコは、ついに最後の大きな坂を登り始めた。


頂上についたら、目の前は滝の崖!



トロッコは滝の下へと急降下!



2人「うわぁー!」「きゃー!」(茜ちゃんが無意識で僕の手を握っていた)


「バジャーン!」

大量の水しぶきが僕達を出迎えた!


茜「怖かったぁ、、、」

(茜ちゃんの手はほどけていた)



隆、由美子「おかえりー!」「楽しかったー?」



その後4人は時間を忘れて遊び明かした。


気がつくとディズニーランドはネオンで色づき始めていた。


パーク内の「注目」がシンデレラ城になり始めていた。


これからプロジェクションマッピングが始まるのだ。


僕たち4人は、少し離れた位置に。

そこにはベンチが2つ並んでおり、


隆、満、茜、由美子の順で腰掛けた。



     〜〜☆


シンデレラ城が薄紫色に輝き始めた。


やがて城全体を「無数の光達」が色鮮やかに点在し始めてきた。


オーケストラ調の音楽が徐々に大きくなっていく。


ライトがシンデレラ城のベランダ示す


そこには、ステッキを持ったミッキーが現れる。


ミッキーがステッキを振りかざすと、イベントの始まりだ!



そこからみた20分の光景は、僕が今まで見てきた18年の、どんな絶景よりも綺麗だった。


「18歳」という人生の交差点にいる事を、20分間だけは、完全に忘れていた。



プロジェクションマッピングは終わりを迎えようとしていた。

  

ミッキーがシンデレラ城のベランダからステッキを振ると、赤、黄、緑、紫、様々な色の光達は膨張し始め、最後は弾け、四方へ飛んでいってしまった。


パーク内は暗闇と静寂で数秒真っ暗になった。


その後終了のガイダンスと共に、人々は歩き始めた。


僕たちは誰も動かない


正確には「動けなかった」


歩いてしまったら「現実」に帰ることになる


もう少しだけ余韻に浸りたい




1分ぐらいして由美子が言葉を発した

「そろそろ帰ろっか」


・・・


新宿で女子達と別れた後、明大前で隆とも別れた。


自宅の永福町へは歩いて帰る事にした



車のライト、街灯、家の光、いつも見慣れた光景なはずなのに、今日はとても綺麗だ。






!?


ポケットに何か入ってる!









それは茜ちゃんが手首につけていた「水色のビーズのブレスレット」だった。






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