9話 再会

11/24(水)2時間目後の5分休憩



「み、つ、るぅ〜!」


隆が後ろからぶつかってきて、そのまま肩を組んできた。


満「うざっ!」


隆「ごめんごめん、、、まぁ聞けよ、そして感謝しなさい、俺に」


満「は?何?」


隆「バイト先のタメの女子と今度の日曜、こっちは満と俺の、2対2で遊ぶ事になったよ!」


満「マジか!?ナイス隆!」


・・・隆は週3日ファミレスでバイトしている。そこで仲良かった同い年の女子2人と「卒業旅行でもしよう」という約束を以前からしており、全員のスケジュールが空いたので、今度の日曜にディズニーランドに4人で行く事が(僕に無断で)決まったそうだ。



【11/29(日) ディズニーランド】


7:10 渋谷

「おぉ!待たせたな」7:00待合せのはずの隆が、いつも通り遅刻してきた。


「おせぇよ!」満は言った。


いつもだったらマジでウザいが、今日はワクワクの方が大きいので、満はそんなに気にしてなかった。


JRの改札をくぐり、埼京線のホームへと向かう階段の途中、、


「隆くん!」


まさかの遭遇だった!

4人が一列に並び、真ん中の隆と由美子ちゃんという背の小さな童顔の可愛い女子が楽しそうに話し始めていた。自分も挨拶をしようと輪に入ろうとしたその時、、、


「え!」


奥にいたのは斎藤茜だった。


「何?知り合い!?」

(隆は嬉しそうだ)


「え?あ?まぁ。知り合いかな」満は脳をフル回転して言葉を選んでいた。


「こ、こんにちわ」茜は頬を赤らめながら、必死に満の顔を見て挨拶した。


「ちょっと茜!聞いてないよ。男の子の友達いた事ないとかいってたのに笑」由美子ちゃんも嬉しそうだ(由美子ちゃんの性格分かってきたかも...)


由美子「あ、電車が来た。」


・・・そこからの車内は最高に楽しかった。日曜の朝日が差し込める車内はキラキラしており、平日朝のラッシュとは違い、日曜特有の余裕がある爽やかな時間が車内に立ち込めていた。僕たちが少しうるさくても、周りの皆さんは全然気にしていない。


学校でのお互いの事、今までの部活について、好きなお笑い芸人、好きだったドラマ、、、、話は尽きる事なく。


新木場まであっという間だった。


新木場で降りると、ディズニーランドへ行くであろう若者が沢山いた。


少し歩いて、ディズニーリゾートウェイに乗り込むと、4人は一列に座った


向かいの席には人がいなかったので、4人の姿が窓ガラスに映る。


それを見て、なんだか急に4人は面白くなって笑い始めた!


4人「ハハハっ!」「なんかウケるー!」「マジ面白い!」「ヤバイ!」


満はここ最近で一番笑ったかもしれない。



ディズニーランドのゲートをくぐると、そこはまさに夢の国だった。



キャスト、お客さん、マスコット、そこにいる人達は皆笑顔で、僕達を出迎えてくれる。


「まずはスプラッシュマウンテンとスペースマウンテンのファストパスを取り行こう!」由美子と茜の手際の良さに、満と隆は圧倒され、2人は無言のアイコンタクトで、今日は2人に従う事を約束した。


由美子と茜が楽しそうに前を歩いて、その後ろを満と隆がついていく。



ビックサンダーマウンテンもスペースマウンテンも最高に楽しかった!



途中、由美子の提案で、ここから乗り物には「隆と由美子」「満と茜」のペアで乗る事がなぜか決まった。

(由美子には逆らえない、謎の威圧感がある、、、)



スプラッシュマウンテンに並んでる。


前にいる「隆と由美子」の後ろ姿はカップルのようだった。

とてもお似合いだ。


一方、僕たちはお互い人見知りな性格から、ほとんど喋らなかった。いや、正確には僕のトークがダメだったのかもしれない。


茜は気を使って、喋りかけてくれるのだが、僕が会話を膨らませるのが下手すぎて、すぐ会話が止まってしまう。


それでも、僕の下手な切り返しを笑顔で、じっと、一言一言しっかり聞いてくれる茜ちゃんは優しかった。


いつの間にか、スプラッシュマウンテンが僕たちの前に到着していた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る