3話 SNS
〜〜(下北沢にて)〜〜
メガネ女子高生の手を引き、走った!
どれくらい走ったのだろうか、、
気がつくと住宅街を抜けて羽根木公園まで来ていた。
「と、止まってください!もう、走れない!」
「ご、ごめんなさい、、」
頭の中で満は色々な事を考えていた。
頭がパンクしそうになっていた。
2人「あの!」
満が、右手で「ごめん」という仕草をした後、メガネ女子高生が頬を緩め、喋り始めた。
「私は斉藤茜と言います。18歳です。takayanさんですよね?ずっとファンでした」
満には別の名前がある。
(SNSにしか挙げてないはずだが、、)
takayanという名前でフォロワー6万人の大人気アカウントなのだ。カリスマ投資家として「億トレ(1億円稼いだトレーダー)」なのだ。しかし年齢・職業・その他素性は友人・家族etc...誰にも明かしておらず、プライベートで満が億トレだという事を知る者は皆無だったはずだ。
なのになぜ、目の前にいるこのメガネ女子は僕がtakayanである事を知っているのだろうか?
満は思わず尋ねた。
「なんで、僕の事takayanって呼ぶんですか?」
「え、あ、はい。私takayanさんの事大好きで、Twitter毎日見てるんですが、なんとなくこんな人だろうな?って分かってました」
茜曰く、写真の背景に下北沢が多く、1度だけ偶然写ってしまった服装から東翔高校の制服であると類推していたそう。
「顔はこれ」と茜が見せてきた僕(takayan)の3ヶ月前の投稿を見ると、「下北沢のルールという古着屋の前で、たまたま通りかかった猫の写真」
であった。僕の顔は映っていない。
「これが何か?」と満が問うと、茜は「ここ?」とルールの看板に写り込む「スマホを猫に向けてる僕の顔」を指差して来た。
看板に光が反射して、満の顔がバッチリ映っていた。
「これか、、、」
しまったぁ、という表情をした満は急いでTwitterから「その投稿」を削除した。
「猫かわいいのに、、、」茜は少し残念そうだ。
満は少し安心した。フォロワー6万人いるとはいえ、このぐらいの顔バレなら、おそらく日本中で2〜3人ぐらいしか気づかないぐらいのレベルだったからである。
そして茜に感心してしまった。自分で言うのもなんだが、こんなにtakayanの事調べてるとは、、、
ただ、自分が億トレである事が身近な人に誰一人バレたくは無かったので、自分がtakayanである事は秘密にしてほしい事を告げ、ここでサヨナラをする事にした。
茜「わかりました。誰にも言わないので、takayanさんのTwitterフォローし続けてもいいですか?」
「秘密にしてくれるなら、、」満は俯き下を見ながら恥ずかしそうに答えた。
僕たちは、その後何も言わずに背を向け、逆方向へ帰っていった。。。
気がつくと、空は辺り一面赤紫色の夕陽で照らされていた。
すごく綺麗だった。。
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