さようなら

死ぬこと。



生きている生き物は全て、これに該当する。


僕がこれを認識したのは小学1年生の時だった。

毎週土日に会いに行っていたおじいちゃんが夏休みが終わる直前に亡くなった。


突然死だった。

心筋梗塞だった。


知らなかった、人が死ぬなんて。

いつまでも一緒にいてくれると思っていた。


ランドセルを買ってくれたのも、今年の冬スキーに行くこともいっぱいまだやりたいことはあった。


なのに、あの日おじいちゃんは僕の目の前から消えた。


あの日から僕はどこか悲しい。

何をやっても満足しない。

何が起きても全ての感情が引っ張られない。


きっと、これはおじいちゃんがいないせい。


お母さんたちは痛くなく行けて良かったと言っていた。

僕は信じられない。

だって、一人で知らない場所に行くのはきっと寂しいと思う。


だから今日もおじいちゃんに会いに行く。

1人でおじいちゃんに会いに行く。

色んな気持ちを感じながら、おじいちゃんの家に行く。

会えないとわかっても、おじいちゃんを感じたいから。

まだ、おじいちゃんがいないことを信じたくないから。

いつか、この気持ちを忘れた時にまた思い出したい。



おじいちゃんのことが大好きでたまらない僕の気持ちを。

そして、僕を愛してくれたおじいちゃんのことを。




またいつか、おじいちゃんと再会するまでに僕は探してみる。

この僕の心を補ってくれる人を。

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