さよならの前に
わたしはもうすぐ海に消えていく。
それはまるでおとぎ話の人魚のように
海の中に落ちて泡になる
それはまるで海に帰るように。
わたしは生まれながら心臓に大きな病気があった。
だあからいつでもわたしは病院にいる
家に年100日以上入れたら良い方だと言えるくらいに。
どこにでもいる病気がちの子供だ。
両親はわたしが悲しまないようにと常にそばにいてくれる。
退院出来たとしても行ける場所はない。
ただ1人で寂しくいるだけだった。
わたしに希望の光が見えたのは奇跡的にいけた海だった。
綺麗な綺麗な海だった。
水が澄んでいたわけでもない、砂浜も綺麗な茶色じゃない。
自分の予想していた海ではなかった。
それでもとてもきれいだった。
そこからのわたしは希望が生まれたかのように見違えた。
毎日毎日、海の写真を見て、模写をして、魚を見て、模写をして、海の中のイラストを見て、模写をする。
気づいたときには、わたしの病室にはわたしが模写した海でいっぱいになった。
でも、気づいた。
わたしがいない。
ここにいるのに。
誰もいない。
わたししかいない世界。
気づいたら、自分の模写を破っていた。
家族や看護師さんたちが必死にわたしを止めていた。
そこからまた前のわたしに戻ってしまった。
いや、前以上に酷かった。
まるで息をする人形だった。
母は諦めきれなかったのかもしれない。
毎日わたしの模写のいいところを伝えた。
わたしが見ていない海の写真。
わたしが知らないだろう深海魚。
海が映っている海外の写真。
そんな時、マンボウをみた。
どうやって生きているのか。
どんなに弱々しい生き物なのか。
どんなに儚い存在なのか。
わたしはまた、魅了された。
また描き始める。
最初は描けなかった。
けど、毎日描けばわかっていく。
いつまで描いても慣れることはない。
けど、描いていく。
いつのまにかまた病室は海に戻っていた。
前と少し違うのは絵が額縁に入れられていること。
snsに母が投稿していったら、有名になったそうだ。
でも、わたしには関係がない。
だって、いつまでもまんぼうを描くことだけがわたしにとっての生きがいだから。
学校も知らない、友達もいない、世界を知らないわたしが描く海。
それはまるで闇の中にある希望のような絵だと言われた。
数ヶ月後、わたしは初めて個展を開いていた。
もちろん外出許可が降りたが、看護師さんが着いているという条件付きだ。
誰かと一緒に自分の絵について話すというのはどこか不思議な感覚だった。
どこにもないと思っていた自分が見つかったように見えた。
個展の2ヶ月後。
わたしは空に向かっている。
個展が終わってから合併症が生まれたらしい。
日に日に海の色が濃くなっていく。
わたしの目の前に海が迫っている。
きっとこれが死に向かうということ。
だからこそ最後まで描いた。
模写をする手を止めなかった。
だって、それはわたしにしか描けない海の中だったから。
おかげで棺桶の中にはいろんな方が描いてくれたマンボウやマンボウのぬいぐるみでいっぱいだった。
好きなものの中で旅立てることを幸せに感じながら。
今日もどこかで描き続ける。
みんなに海という孤独と希望が表裏一体の世界を伝えるために。
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