なんでも。。。
湊香あおと
友達から
私の小さいころから仲の良い琳斗という幼馴染がいる。
中学生になり、お互いに思春期を迎え自然と話す機会も減り続けた。でも、会えば自然と心が許せる相手として話に花が咲く。
そんな時、琳斗とよく一緒にいる友達から琳斗の前で告白された。
戸惑った。でも、やはり中学生だから恋人は欲しい。そして、告白されることは自然とうれしい気持ちになると思っていた。なのに、うれしいと思えなかった。逆に胸が痛くなった。そして、泣き出してしまった。友達は慌てて慰めてくれて、返事は後日で良いと言って私は琳斗と二人になった。
私は泣き止んでいたものの二人とも何かを話すことなく一緒にいる。それが一番落ち着く。自然と心の痛みは消えていく。
そんな時、琳斗が
「あいつじゃなくて、俺を選んでくれないか。
澪のことがすきだ。」
久しぶりに呼ばれた私の名前、澪(みお)。
いつも、二人の時は昔からのあだ名である、みーちゃん。学校など、ほかの人がいる場所では名字の、前田。
前田でも、みーちゃんでもない、澪。と名前呼んでくれたことに心が浮かれ、好きだ。と言ってくれたことに心が躍る。
私は、
「うれしい、私も琳斗が好き」
と泣きながら、琳斗と同じく、あだ名でも名字でもない、名前でよんだ。
10年後
あの時の友達は、今私たちの結婚式で俺たちをくっつけてくれたキューピットとしてあいさつをしてくれいる。
二人で付き合った後、二人で謝りに行ったら「俺の作戦通り。おめでとう!」って心から喜んでくれた。
60年後
あの時の友達も、琳斗も先に逝ってしまった、私を置いて。
でも、もうすぐ彼らに会うことができる。って、そう思える。
「おやすみ、琳斗」
空を眺めながらつぶやいた。
そして、私は椅子に腰かけて眠った。
数日後
私の身体の周りに子供たちや孫たちが目いっぱいに涙をためている。
そんなあの子たちには届かぬ声で
「さようなら、いつまでも見守っているよ」
と、伝えわたしは、琳斗と友達がいるあの場所まで駆け上がった。
私を待っていてくれた琳斗はわたしに、
「おつかれさま、澪」
と、あの時と同じように名前を呼んでくれた。
私は思う、彼が澪と私を呼び続ける限り永遠にそばでお供しようと。
ここに永遠といられるとは思わない。
きっといつか離れてしまう瞬間が来る。
でも、また会えると信じている。
だって、そんな私たちを友達はいつまでも温かく見守って助けてくれる友達がいるから。
だから私は、いつも伝える。
「だいすき」
って、私の満面の笑みではにかみながら感謝の気持ちを乗せて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます