第18話

「ユーコ...、そんなことで泣くなよな」


今後とか、そん位で涙なんか出したらな、

語弊があるとは思うけど、俺的には、もうなんつーの全ての男に、この女、

すっげぇめんどくさいやつだと思われるぞ。


「だって...!私、凄いショックでぇ...」


最後の方は声にならない声出して。


ヒンヒン言ってた。


周りの目なんかまるで気にせず。

そばにいた俺が恥ずかしくなって、トイレに行こうと立ち上がり、席を立とうとした時だ。


ユーコががしりと俺の右手首を掴んだんだ。


「どこ行くの、シンジ...?

行っちゃ嫌...」


「トイレだよ。俺、漏れそう」


前半は本当。

だが、後半は嘘。


「ごめん...行ってきて...」


「すぐ戻ってきてよ?」


ユーコの奴がパッと手を離してくれ、

俺は拘束を解かれた。


あーあ。


もうな、すぐに泣いて、表現きついかもだが、

束縛する女って、

美少女でも無理だかんな!!


俺はそそくさと教室を出て行った。


トイレで用を足しても、

教室に戻る気は一切なかった。


四時間目。


サボっちゃえばいいか、


と思っていた。


ベタベタしてくるユーコが。


とにかく鬱陶しかった。


俺は四時間目。


校舎を飛び出し、コンビニで漫画雑誌を適当に買って屋上で読み、時間を潰した。

それから、四時間目の終業を告げるチャイムの音が鳴り響き、俺は分厚い雑誌をパタンと閉じた。


それから、ため息をついて。


五時間目が始まる少し前に自分の教室に戻った。

そんで。

同じクラスで俺のすぐ前の席に座る

俺の友達のユーマに拠れば。


林ユーコは

四時間目の授業開始ギリギリまで、

俺の机の横に陣取っていたから、

本来の席のやつが大変迷惑被っていたという。




「林ユーコの奴、ちょっとお前のこと追っかけ過ぎだろ...」


「まあ、でもさ。

羨ましいよ、、俺もあんな美少女に

追いかけまわされたいよ...」


「本当にそう思う?俺はごめんだね!」


「そうかなぁ。俺なら喜んでイチャイチャするな。放課後とかもさ、手を繋いで一緒に帰ったりしたいな、なんて」


「ユーコがお前に靡くといいな。

俺はさ、あいつのこと好きじゃない。

人のこと、散々利用して、

ついちょっと前まで、陰キャくん!と

不名誉なあだ名で俺のこと呼んでいたんだぞ」


「あだ名の件は知ってるけどさ。

散々、利用っていうのは?」


「宿題写したり、夏休みの自由研究俺にやらせたりしたのさ!!」




放課後の帰り道とかに、

林ユーコと手を繋ぐ?

そんなのな。

想像しただけで、身震いもんだ。









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