第14話


人は見た目が9割とはよく言ったもので。

妹は俺のこと、お兄ちゃんはイケメンだよ!と称賛しているが、

俺が裸眼になったら、こんなにも女子にチヤホヤされるなんて思ってもみたかった。


その女子の人だかりに、幼馴染の

ユーコの姿を探したがいなかった。

普段時、俺のこと、馬鹿にしてるあいつにも

チラッと顔見られて、キャイキャイ言われるのも悪くないな、と思ったんだが。


でもな。


少ししたら、ユーコのキンキン声がうるさいくらいに体育館内に響いた。


俺の周りにいた女子軍団を、


さも、邪魔だと言わんばかりに

掻き分けて。


「ちょっと!どいてよ!!

私がお手洗いから戻って来たら何の騒ぎかと

思ったら、、!」


「私の幼馴染のシンジに近付くんじゃないわよっ...!!」


「近過ぎなのよ...!!

少しは離れなさいよ...!」


目を吊りあげて、

せっかく集まってくれた周りの女子達を

蹴散らし、


「シンジとは長い付き合いで!

幼馴染!!しかもね、うちら、付き合ってるんだからね!人の彼氏に触ろうなんて、

しないでよね...!!」


は?


俺がお前のいつ、彼氏になったっていうんだ!?


周りの女子は。


ユーコの迫力に負けて、

おずおずと俺のそばから、

さーっと、水が引けるみたいにいなくなった。


「あーあ。ハーレムだったのに...」


俺はそんなセリフをぼそりと呟いた。


去り際に一人の気の強い女子が。


ユーコに負けず劣らず可愛い女の子が、


「何よ...!幼馴染だか知らないけど、

全然、仲良くなかったじゃない!!」


と捨て台詞を吐いてくれた。


「そうだそうだ!」と

俺も援護した。


でもな、幼馴染ユーコは、

俺の声が聞こえてないみたいに。


にっこりと俺の顔の間近で笑顔を作り、


「大好きだぉ。シンジ」


と気持ち悪いこと言って。


俺の首に両手を絡ませようとしたから、


慌てて突き放した。


「やめろ...!」








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る